14話 ページ14
・
馬鹿なことを考えて、黙りこくった私を赤葦は怪訝そうに見つめる。
暗がりだと妙に色っぽいこの人は、自分のそういうとこちゃんと分かっているんだろうか。
ふとした瞬間の仕草や目線がしなやかで艶っぽい、赤葦は。
「お姉ちゃんこれから打ち上げなんだって。何のかは知らないけど。あのまま人と合流するから、一緒には行けないでしょ?」
「……白福一人で帰るつもり?」
「え、そうだけど……」
「はあ……」
「えぇ……」
ため息をつかれた。何でだろう、さっぱり分からない。
反応に困ってよく分からないリアクションになってしまった。
赤葦は呆れたように片手で顔を押さえてそのまま数秒黙り込んだ。なんかひどい。
それからふと顔を上げて、ボールかごをぐいと押した。
「白福電車だよね」
「?うん」
「ボール出し、してくれる?」
「する」
そのまま倉庫を出ていく赤葦に着いていく。
扉を閉めようとしたけど、いいよ、と首を振られた。
体育館の真ん中あたりで木兎さんが大声で赤葦を呼んでる。
あ、手振ってる。
「終わって着替えたら、部室棟のとこで待ってて」
「え、木兎先輩無視でいいの?……それは良いけど、なんで?」
背中を追いかけながら問いかけると、赤葦の歩みも言葉もぴたっと止まった。
若干ぶつかりそうになりながら慌てて上を向く。
振り返った赤葦が、ずっと上の方から、相変わらず綺麗な顔で私を見ていた。
黒曜石みたいな目がいやに澄んでいた。
「送ってく」
「え、いいよそんな」
「いいから。もう暗いのに一人で帰らせるわけにいかないだろ」
「でも赤葦は私達の一つ先の駅で降りるってお姉ちゃんが…って赤葦!聞いてる!?ねえ!」
決定事項を告げただけみたいに、赤葦はかごを押して行ってしまった。
歩幅の違いすぎる彼を追いかけたけれど、追いついたころにはもうすっかり、赤葦はバレーモードだった。
・
132人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時