キール (ページ1)

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「ねぇ」

授業をサボり屋上で過ごしてると声をかけられた。顔を上げると茶髪の男が立ってる。彼は有名だ。‘女遊び,が激しいことで。でも、私は知ってる。コイツは人のことを道具にしか思ってないことを。

「次のターゲットは私？」

「何、嫌？」

首を傾げる彼。彼はきっと人に対する共感能力が無いのかも知れない。大事にしてあげよう。俺が守る。とか初めの方はどんな男でも考えるでしょ。でも、コイツは違う。人のことを道具としか捉えてない。都合も気持ちも関係無い。ただ、役に立つか、立たないか。

「あんたも見る目無いね。こんな不良品を使おうとするなんて」

そう、不良品。完成することなく壊れた喋る人形。

「別に不良品だろうが関係ないよ。少しでも使えるなら」

「後悔しても知らないよ」

「大丈夫。使いすてに後悔することないから」

笑いもせず、光の無い瞳で私を見る彼。どうしてこんな男に貢ごうとするのか、私には分からない。