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「あーこれは、、誕生日プレゼントでお婆ちゃんから貰ったの」
「A今日誕生日なの？」
「うん」
「やっぱり行き先変更！A後ろ乗って？」
「えっ、コンビニは？いいの？」
「いいからいいから」
この前ぶりに平野くんの後ろに乗る。
「とうちゃーく」
「ここって」
平野くんが連れてきてくれたのは私達の家からは大分離れた所にある公園。
丘の上から見渡すと辺りは真っ暗。
「婆ちゃんにこの前ここ教えてもらって。A連れて行きたいなーって。でも地元だし来た事あるか」
「来た事はあるとは思うけど全く記憶にないから久々かな」
「なら俺と同じだね。…Aは誕生日嫌いなの？」
「…何でそんな事聞くの？」
「誕生日なのに寂しそうだから」
「……私ね誕生日に親に捨てられたの」
何故だろう平野くんになら話してもいいと思えた。
.回想
ごく普通な家庭だったあの日までは。
後、数ヶ月で中学に上がれると浮かれている時だった。
朝、いつも通りに起きるとお父さんが荷物を詰めていいて。
"何処に行くの？"
私の問いかけにも答えぬまま家を出て行き、その日からお父さんの姿は一度も見ていない。
それは中学に上がって直ぐの事だった。
"Aちゃんのお母さん不倫してたんだって"
嘘かも本当かも分からないそんな噂が飛び交うようになった。
私はお母さんに聞けないまま、13回目の誕生日を迎えた朝、"ごめんね"とメモに書き残しお母さんは私の前から消えた。
それから分かった事はお母さんは私の小6の担任の先生と不倫関係だったという事。
あの噂は本当だったの分かり落胆した。
田舎だからかそんな噂は一気に広まり、元々少ない友達は完全に居なくなった。
それから行く当てのない私を引き取ってくれたのが近くに住んでいるお母さんの母親、私のお婆ちゃんだった。
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作者名：真名 | 作成日時：2021年2月20日 0時
