初恋リモーネ (ページ6)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:5,428 hit

6 ページ6

.

「あっつい」

蒸し暑さで目が覚ますと、時計の針は9時を指していた。

カレンダーを見て憂鬱な気分になる。

寝る前に明日が来なければいいと願った。

無意味だって分かっていたけど。

今日は夏休み最終日。

世の学生は明日から始まる学校生活が嫌で今日がきてほしくないと思うのかもしれない。

でも私には違う理由があった。

何故なら

「Aお誕生日おめでとう！」

「お婆ちゃん。ありがとう」

今日は私の誕生日だからだ。

「ケーキ予約してあるから夕飯に食べようね！」

「うん」

「はい誕生日プレゼント！」

開けてみると中にはハート型がモチーフのネックレスが入っていた。

「お婆ちゃんどう？似合ってる？」

「素敵！とっても似合ってるわ！」

「ありがとう」

自分の誕生日は嫌いだけど、毎年祝ってくれるお婆ちゃんには感謝しかなかった。

辺りには街頭しかない中、歩いて15分程度の所にあるコンビニに向かう。

夜風に当たると少し肌寒い気がしてパーカー着てくればよかったと後悔する。

でも家まで戻るのも面倒だなって考えていたら

「A？」

「平野くん」

自転車に乗った平野くんが私の後ろからやって来て止まった。

「どっか行くの？」

「コンビニだけど」

「あ、俺も。一緒に行こう」

平野くんは自転車を降りて私の隣を歩く。

「平野くん何か欲しい物でもあるの？」

「夕飯、何時もより早くて小腹空いちゃって。Aは？」

「そっか。私は外の空気吸いたくなったの。田舎だしコンビニくらいしか行く所ないから」

「ふーん。…気になってたんだけど、そのネックレスどうしたの？」

「えっ？」

平野くんに言われて、自分がさっき貰ったばかりのネックレスを付けてる事を思い出した。

.