13 ページ13
.
体育祭当日、クラスメイトが半袖なのに対し私はジャージを着てチャックを上まであげている。
理由は簡単、足の怪我が完全に治っておらず体育祭は見学するから。
特にやる事もなく自席に座り時間が過ぎるのを待つ。
"平野先輩だよ！かっこいい！"
"本当だ！平野先輩応援しよ！"
何処からかそんな声が聞こえてきてぼーっとしていた意識を戻す。
どうやら今は全学年選抜の100メートル走らしく、平野くんの番を迎えようとしていた。
ピストルの音が響くと、平野くんは最初から凄い速さで周りと差を開きぶっちぎりで1位をとっていた。
"流石紫耀だわ！"
"紫耀が俺らのクラスにきてくれて良かったよな！"
平野くんのクラスメイトの声が聞こえてきて平野くんってやっぱり人気者だなとしみじみと感じる。
"紫耀おかえり。ぶっちぎりだったじゃん"
「まあねーこれくらい余裕だよ」
平野くんの声が近くで聞こえて自席に戻ってきたのだと分かった。
だからと言って特に話しかける事はしない。
クラスメイトの人と話してるのに邪魔はできない。
「A見ててくれた？」
「あっ、見てたよ」
クラスメイトと話し終えたのか平野くんは私の所に来た。
「Aは不参加か」
「うん。それに参加しても私は平野くんみたいに動けないよ」
「俺だって一応ランニングとかしてたんだけど？」
「えっ、そうなの？」
「Aにかっこいいって思ってもらうために1位取ったんだけどなー」
平野くんの言葉に戸惑ってしまう。
私は何を言うのが正解だろうか。
「…っいつもかっこいいって思ってるよ」
「ははっ、本当に？嬉しい事言うじゃん。さんきゅーな」
そう言うと私の頭をぽんぽんとして平野くんは次の競技に向かってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真名 | 作成日時：2021年2月20日 0時
