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西階段に来て、階段を降りようとしたら踊り場の所に私が探していたものが落ちている事に気づいた。
「待って、私ここ」
今日は通っていない事を思い出す。
それに池田さんに犬のキーホルダーとは一言も言っていない。
もしかして池田さんの仕業？でもどうして。
そんな事を考えていて後ろから足音が迫っている事に気づきもしなかった。
「っ、」
背後から強く押される感覚がして声も出ないまま、階段から落ちた。
「いったっ、」
急いで階段の上を見てもそこには誰もいなかった。
取り敢えず、探していた物は見つかったし教室に戻ろうと立ち上がる。
「っ、」
ズキっとした痛みが足首に走り思わず座り込んでしまう。
この階段は移動教室の時しか使われず人は中々通らない為、人が通るのを待つだけ無駄。
それに平野くんに連絡もしないで来てしまったから、心配されるかもしれない。
何としてでも自力で教室に戻るしかなかった。
「A？」
手摺りに手を掛け立ち上がろうとしたら、名前を呼ばれ反射的に顔を上にあげる。
そこには平野くんが息を切らして立っていて、私と視線がぶつかると平野くんは階段を駆け下りた。
「平野くん何で、」
「教室行ってもAいないし、暫くしたら戻ってくるかなって思ったのに戻ってこないから」
「心配掛けてごめんね」
「いいけど。こんな所で何してた？」
「落とし物したの。それ探してたら階段から足滑らせちゃって」
ちゃんと姿を見た訳でもないから、誰かに押されたかもしれないとは言えなかった。
「ドジすぎ。歩けないでしょ？乗って」
「えっ、でも」
「乗らないといつまで経っても帰れないよ？」
「…ごめんね」
「ありがとうの方が嬉しいんだけど」
「平野くん。ありがとう」
「いいえー」
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作者名：真名 | 作成日時：2021年2月20日 0時
