検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:111,619 hit

想い人 ページ8

第三者side






その方は、いつも夕暮れ時に現れる。


此処はとある小さなお寺。罰当たりなことに、私はこのお寺の本堂に住み着いている。もちろん1人ではない。産まれたばかりの娘も一緒。夫は、蒸発した。


そんな私は、恋をしている。




二つに分かれた階段を、からんからんと下駄を鳴らして歩く人。彼は、とても美しい。
下駄の音を聞いて、子供は目覚めた。遊び疲れて寝ていたのにね。




『あ、チビちゃん起きてはったね。』


「きつねさんの下駄の音で起きたのよ。ほんと、色男は違うのね。」


『あはは。そないに褒めても、今日の晩御飯は豚の角煮だけやで?』


「私の大好物です。」


『さいですか。なら、ぎょうさん食べてもらわな。』


「勿論ですよ。
…いつも、ありがとうございます。この子達がもう少し大きくなったら、きちんと働いて今までの食費も全てお返ししますから。」




だからもう少し待って下さい。
そう頭を下げた私に、きつねさんは首を振った。


『女手ひとつで子育てしてはる人から、お金取ろうなんて思ってへんよ。ほら、僕紳士やから。』

文句は、受け付けへんよ。そう言って笑ってくれるのを分かっていたの。私ったら、いつの間にかこんな悪知恵がついちゃったみたい。それもこれも、きつねさんが甘やかすから。




「貴方は、馬鹿よ。そうやって私達みたいな人を甘やかしたら、逃げられなくなるんですから。」


『僕ね、逃げるの上手やから問題あらへんよ。

それに、勘違いしてもろたら困るわあ。今日作った角煮も今までの御飯も、全部失敗作。捨てんのも勿体無いから、君等に配ってるだけ。それだけやで?』


「…それが、甘いんですよ。」




勿論、それで助かっている私が言えたことじゃないけれど。




『君がそない言いはるんなら、そうなんやろな。
まあ、今日でそれも終わりやけどね。』


「え?」


『僕、明日から江戸に引越ししよう思ってんねん。てかもう引越してん。流石に宅配で飯送るなんて無理やからね。…ごめんなあ。』


「…本当に貴方は、罪な男ですね。」


『ふふ、僕もそう思う。』




この人に人生で二度目の恋をしたのが、運の尽き。




「…最後に、Aを教えてください。」


『なんかそういうん、ええね!映画みたいや。

僕の名前は南大路A。百戦錬磨の色男です。』


「もう、ふざけてるでしょ。」









▽▲▽









「南大路…、A。」




お母さんの、想い人。

運命→←優男



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (265 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
369人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 男主 , 万事屋・真選組・春雨・吉原   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あきな(プロフ) - 面白いです!更新大変だと思いますが頑張って下さい!!応援してます!!! (2017年9月29日 21時) (レス) id: a03d3f2ed8 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 俺こうゆうの超好き!!!!!! (2016年6月18日 0時) (レス) id: 46538a2eea (このIDを非表示/違反報告)
夏凛 - めっちゃ面白いです! (2016年4月12日 1時) (レス) id: b1b68a76c0 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - え?終わり?そんなわけないですよね!更新頑張ってください! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 131cdd29b3 (このIDを非表示/違反報告)
潮音(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (2015年11月8日 19時) (レス) id: 05ac5cb1f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とまと侍 | 作成日時:2015年10月21日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。