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僕からの贈り物 ページ18

(亮平)
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「いっ...たっ」


映画館独特のふかふかの椅子に座って


ふんぞり返るように寝ていたからなのか


頭、特に後頭部が痛い。


目の前のスクリーンには黒い画面に白文字の筆記体の『END』の文字。


なんだか、チャップリンを彷彿とさせた。


とりあえず、なぜ俺はここにいるのか、記憶を辿る



道路から飛び出した子供、猛スピードの高級車



『助けなきゃ、もっと動けよ俺の足っ!!!』



一目散に彼の元へ、青のゴムボールを抱えて目の前の恐怖に絶望してる彼の元へ




咄嗟に、手で彼の目を抑えて俺の体がクッションになるように、後ろから倒れ込んだ。





目を抑えた理由は、彼が事故の惨状を見ることがないように、それだけ。




痛かったのは一瞬、頭に衝撃が走った。




気がついたら、映画館にいた。後ろの人がむせび泣いていたのが分かった。




俺は振り返る、けど、その声の主の姿はなかなか見えない。




俺は立って、後ろを振り向いた。



黒髪でスラットした鼻筋、大きなキラキラした目。



頬のホクロが、印象的だ。




「あの、大丈夫ですか??」


まあまあ、デカ目な声で彼に呼びかけると


「えっ、映画に出てた人·····」


相変わらず鼻をすすりながら、俺の方を向いた。



「なんの映画だったんですか?僕寝てて...さっぱり。」


「自分の主演映画を見逃すなんて、残念...」



さっきから、彼は何を言っているのか。



映画なんて撮ったことないし、撮られたこともない



俺は一般の大学生であって、俳優でも何でもない。


「でもっ、めちゃくちゃ感動しましたっ!

妹が亡くなって医者を目指すシーンとか

最後、子供を庇うシーンとかっ!!」

「え、今なんて??」

彼は興奮して早口だったけど

俺のことを言っているような気がした。

「うおあっ!?」

驚いたのか変な声を出しながら

彼は立ち上がると、出口へと向かった。


「次の映画も楽しみにしているんで!!!」

「はぁ??」


訳の分からないこの状況。

姿勢は正せても、席からは離れられない。


「なにこれ...まじで」


そんなことを思っていたら、開演ブザーが鳴り響いた



客が俺しかいない、劇場で。


「え...誰...」



2列先ぐらいに、男の人がいた。大分年老いて、黒の混じりがない、綺麗な白髪だった。



「もしかしてっ、、、涼太なの??」


その声は届いていなかったのか、聞こえなかったのか


分からない

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momo(プロフ) - 更新していただきありがとうございます。ずっとこのお話の続きが見たいと思っていて、ほんとに嬉しいです。本当に泣けます。 (2020年4月10日 8時) (レス) id: a0b82fa00b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - 涙が止まらない...。 (2020年4月10日 1時) (レス) id: 5b31e0b468 (このIDを非表示/違反報告)
momo - もう、ずっと泣きじゃくってます。(笑) (2019年11月4日 3時) (レス) id: bd74373af8 (このIDを非表示/違反報告)
すたっこ(プロフ) - mellerさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです! (2019年4月27日 8時) (レス) id: b3cfcf69f2 (このIDを非表示/違反報告)
meller - すごいです、なんというかすごいです 読み終わって衝撃で泣いてました 驚いて泣いたのは初めてです 素晴らしいお話に出会わせていただきありがとうございます (2019年4月27日 2時) (レス) id: 90dd845d04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すたっこ | 作成日時:2019年4月26日 17時

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