Spicy Spicy(中・短編) (ページ7)

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※過激な描写あり
※嘔吐表現あり
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(佐久間)

彼の家の前で、息を整える

試しに、インターフォンを押してみる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーピンポーン

家からは全く物音はしなくて

インターフォンの音だけが帰ってきた。

...仕事に集中してるだけ

家を開けるのが怖い。

俺は怖くて...

鍵の穴に鍵が上手く差し込めない。

何とか、差し込んで

時計回りに、

半分回す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーガチャ

鍵が開いた。

そのまま、戸を引いて

中に入る

｢！？｣

綺麗に整理された部屋は

めちゃくちゃになっていて

割れた食器

なぎ倒された本棚

壊された、ノートパソコン。

｢...うっ｣

胃の中から何が逆流してきそう

そんな臭いがする、寝室。

俺はスライド式のドアを開けると

｢...あべ、ちゃん？｣

彼はベッドの縁に上体を預けるようにして

顔をこちらに向けたまま

目を見開いていた。

｢う゛っ...｣

ショックと腐敗臭のせいで

胃のものが逆流した。

キッチンのレジ袋に戻した。

俺は、何をすべきなのか...

彼の元へと向かう足。

彼の瞳孔は

開き切って

何も写してくれない。

何だか、苦しそうな表情。

｢ごめん、こんなに苦しかったんだね...｣

『俺、ロケット開発して

宇宙の終わりを見てみたいんだ』

『宇宙ってずっと続いているんじゃないの？？』

『終わりはあるみたい

けど、
人間は見たことないからそんなことを言うんだよ』

彼の夢。

頭がいい彼からは予想つかないほど

子供みたいで大きな夢。

そのために、死ぬ気で

頑張ってたんだね...

俺は彼の瞼を

手で覆って

そっと、手を鼻の方へ

スライドさせると

彼は心做しか

少し顔が優しくなった。