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(岩本)
｢...ん、｣
目を覚ますと
ひびのはいった、白い壁と
光の差し込まない窓
薄汚れたカーテン。
｢夜...なのか？｣
｢ずっとこんな調子だけど？｣
｢ひっ！！｣
ビックリして、剣を...
｢ないっ！｣
｢お探しはこれかい？｣
｢っ！！！！返せっ！！！！｣
ベッドから起き上がろうとしても、体が重い
太もものあたりを何かで
拘束されているみたいだった
｢君に聞きたいことがあるんだ｣
濃い色の紫のローブ
ランプの光が当たってるところだけ、紫に見えた
｢な...に｣
感じたことの無い恐怖。
いくつもの修羅場をくぐり抜けた俺でも
得体の知れない恐怖と寒気
死ぬ時ってこんな感じ...なのか？
さっきの感覚を思い出した。
｢どうやってここに来た？｣
｢いきなり、でてきた...｣
｢...そうか｣
彼は何かを悟ったように
ローブのフードを脱いだ
真っ白な肌に、二重の目。
すらっとした喉から顎のライン。
でも、一際目を引いたのは
形のいい唇。
懐かしい気持ちになった。
彼を見つめて、
何故こんなにも懐かしい気持ちになったのか
『ごめんね、』
ああ、思い出した
あの人だ、あの人の唇だ。
俺にその剣を託して、消えてしまった、あの人だ
｢...かあさん｣
｢...そうなんだ｣
彼も何となく、悟ったらしい
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作者名：すたっこ
| 作成日時：2019年6月17日 22時
