Spicy Spicy(中・短編) (ページ16)

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(深澤)

｢参った...｣

薬草がないことに気づいた俺は

ローブを羽織って、外に出ようとした

ローブを羽織らないと、ここからは出られない。

もちろん、ここにたどり着くことも出来ない

魔術師の母さんがかけた魔法。

なんだけど...

｢あれっ、ドアが開かない...｣

何かに押さえつけられているような...

もしかして、洪水？？

なんてわけない無く

何かを押しのけるように玄関のドアが開いて、

｢人間！？｣

大男が玄関のドアにもたれかかってました

どうやって入ってきた？

俺は腰の短剣を抜いて

ドアに押されて下を向いてる彼の

首根っこを掴んで、喉に刃を向けた

彼の寝顔は美しかった。

大人の色気と
幼女のような幼さを持っていた

その、無防備な寝顔に

小さい頃の俺を重ねてしまった、

親を亡くして、石を投げられて

行き場をなくした、あの時を

今、この刃を彼に突き刺したら

そいつらと同じになる

｢どーやって運び込む？｣

ドアを全開にして、彼を引きずって

無駄に広いエントランスに運び込むと

手の甲をドアに向け、人差し指を出して

その指を自分に向け直すと

ドアが閉まった。