双子の豹【ミカグラ学園組曲】 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:28,352 hit

【8】自称、新入生最後の大物ページ10

演劇部の部室に移動した直後、遊兎は彼がいつも愛用しているソファーに寝転がった。

まだ部室に来たばかりだけど、昨日の新入部員達への対応での疲れもまだ残っているみたいで仕方ないから、少しでも彼を休ませておこう。

放課後になってすぐだからまだ部員達も数える程度しかいないし、多分大丈夫だろう。

と、思っていたその時。

「頼もー!!新入生最後の大物、一宮エルナが演劇部に体験入部にやって参りました!!!
幼稚園の頃から木の役という大事なポジションを任され続けた希代の天才女優が我が物顔で参上いたしましたよー!!!?」

……なんか明らかにヤバそうな子が来たな。

どうしよう……さっき遊兎はもうこれ以上の変わり者は扱いきれないって言ってたし、断りに行った方がいいのかな。

しかしそれ以前に私は他人に話掛けるのが無理だ。
人見知りの私はいつも遊兎を通じて友人や知り合いを作っているだけだから余計である。

するとそこへ救世主が……。

「えーと、新入生ちゃん。
保健室はここじゃなくてお隣だよぉ?
春は精神的に疲れて追い込まれるコトも多いのかもしれないけど、ゆっくり頑張るんだよぉ?
精一杯生きるんだよぉ?」

「えっ、いきなり頭おかしい子扱いされてる!!!?
違うから!!ちょっと張り切り過ぎただけだから!!!」

にゃみりんがその新入生……一宮エルナさんを病んでる子扱いするように対応したけど、その病んでそうな一宮さんは違うと反論する。

っていうか自覚なかったんかい。
普通、張り切り過ぎでそんな事言い出すヤツはいないでしょ……。