【46】私、嘘は得意じゃないんです ページ48
「____おっと、ここにいたかー。
ひみちゃん、今日は各部の部長と代表が出席する会議があるって忘れてた?……あっ、悠香もいないと思ったら一緒にいたのか」
そう言いながら練習ルームに入ってきたのは遊兎だった。
いつもの演劇部のみんなも後ろに引き連れている。
「わぁー!!そんなのあった、あったね!!すっかり忘れてたぁ!!」
ひみちゃんが慌てたように端末でスケジュールを確認していた。
そういえばそんな会議があるって今朝遊兎から聞いた気がする。
「ま、もうさっき会議は終わっちゃったけどね。
大した内容でもなかったし。
ひみちゃんが来ないから誰か連絡しようとしてたけど、模擬戦中だった?」
「そうなの。エルナちゃんの練習に付き合ってたんだよねぇ。
あー、やっちゃったぁ」
お気楽そうに見えるけど、責任感の強いひみちゃんはすっかり肩を落としてしまっている。
練習ルームと廊下との間の窓からは、各部の部長や代表者がぞろぞろと群れをなして歩いている様子が見えていた。
そこで私はつい無意識にあの人を探してしまう。
すると遊兎が、
「悠香、九頭竜先輩はもう先に帰っちゃったよ」
『ああ、そう。……じゃなくてっ!!!
私は別に九頭竜先輩を探してたわけじゃ……』
「嘘ヘタ過ぎでしょ」
『うぐっ……!!』
一瞬残念そうにしていやいやと否定するがあっさりと嘘がバレる。
からかってくる遊兎に便乗するように、一宮さんまでもが私の隣でニヤニヤしてきたので軽くチョップを喰らわすと、「痛ぁーい!!!?」と喚いていたが、自業自得だと無視してやった。
「そうか、今日はルーキー戦についての合同会議があったんだりゅいね」
一人納得するように呟いたビミィ先生の言葉に、何それ?と言った一宮さんに先生がこう説明する。
「新入生全員が出場する大規模なトーナメント戦という関係上、教師だけが審判を務めていたのでは全く足りないから、一部の試合では各部から数名ずつ人手を出して臨時で審判の補佐をするんだりゅい」
つまり、今日はその為の会議だったということらしい。
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