双子の豹【ミカグラ学園組曲】 (ページ45)

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【43】自分で考えて答えを導くからこそ人は成長できる(キリッ) ページ45

『一宮さんはまず対抗戦中の観察力も鍛えなきゃね』

「私観察力はいい方だと思うんだけどなー」

「エルナは目の前のことしか見てないからだりゅい。
ちゃんと周りもよく見ながら戦えば、少なくとも悠香ちゃんには勝てるようになる筈だりゅい!!」

「だってみーちゃんに触られないようにするだけで精一杯なんだもんっ!!!なんなのアレ!!!?
アイテムで触れるだけで相手の動きを操れるとか、悠香ちゃんの能力はチートだよチート!!!」

「でも実は悠香ちゃんの能力には弱点があってねー」
『ひみちゃん、それ以上は言わないで。
言っちゃったら一宮さんの為にならないから』

「あっ、そっか!!ごめんね、悠香ちゃん」

「えー!!!?そこは教えてよー!!!答え知りたいー!!!」

『考えもせずに問題の答えだけを求めてどーすんの。
自分で考えて答えを導くからこそ人は成長できるんでしょーが』

ちょっとだけそれっぽく言ってみると一宮さんとひみちゃんが、

「「か、かっこいい…!!!」」

「悠香ちゃんの今の台詞、あんな姿でも一応先生である筈のビミィよりも何千倍も先生っぽかったよ!!!」

『えっ?そ、そうかなぁ?えへへ……』

「オイラに失礼過ぎるりゅい!!!?
悠香ちゃんも納得しないでほしいりゅいっ!!!」

二人にかっこいいと褒められて指で頬を掻きながら少し照れていたら、ビミィ先生に怒られてしまった。

それからまた何戦かやって、私は二人にそろそろ休憩をした方がいいんじゃないかと提案した。

「やー、着替えておいてよかったよー。
汗びっちょりだよ!!ちょりちょりだよ!!」

「ちょりちょりー!!!」

ひみちゃんは一宮さんが言った言葉の響きが気に入ったらしく、そのワードだけ何度も口にしてきゃっきゃっとはしゃいでいた。

子供みたいなひみちゃんは本当に可愛いなぁ……癒される。

とりあえず一宮さんだけはビミィ先生に言われて模擬戦前にジャージに着替えていたのだけれど、その場から一歩も動いていなかった私はもちろん、一宮さんと一緒に動き続けていた筈のひみちゃんも汗一つかかずに涼しげな表情だった。

これが本来の実力差、ということなのだろう。

空き教室を流用して設けられた、模擬戦専用の練習ルーム。

そこを一宮さんが借り切って練習を始めてから何時間が経つだろうか……。