【42】一宮さんのレベル上げ ページ44
「_____また負けたー!!!!
もー、一個もクリスタル壊せないよー!!?
触れることさえ許してもらえないの!!?」
「へっへっへっー!!何回やってももう負けないよーだ!!
っていうか、どさくさに紛れて変なところ触ろうとしてくるのやめてよね、エルナちゃんー」
『一宮さん、そんなことをする余裕があるほど私らは弱くないことをいい加減覚えなよ』
ある日の放課後。
一宮さんは今年のルーキー戦で結果を残す為に模擬戦の回数をこなして経験値をつんでいこうという考えに行き着いたらしく、今はその模擬戦を私達と何度か行っているところである。
しかしRPGに例えるならまず初めはスライムから相手をするべきなのだけれど、今一宮さんが負けてしまった相手はモンスターに例えるならばドラゴンぐらいの強さだ。
いきなりドラゴン相手は飛ばし過ぎだ。
ちなみに私もこのドラゴンに勝ったことは最初の一度しかない。
私の能力は初見殺しが基本だから、対処法などがバレるともう勝てなくなってしまうのだ。
そうやって私と一宮さんがその子をドラゴンに例えていると、
「もうちょびっとだけでいいから可愛いモンスターに例えてくれないかなぁ?
それか、そもそもモンスターで例えるのやめてもらっていいかなっ」
「ごめん、ひみドラゴン!!謝るから炎吹かないでー!!!」
炎なんて吹いてないもん!!!とプンスカ怒っているのは書道部代表のひみちゃん。
一宮さんが一度ひみちゃんに勝っているからなのか、一宮さんはまず最初に彼女に練習相手を頼んでしまっていたらしい。
でもその結果がこれだったので、ひみちゃんがまだレベルの低そうな私をここに呼んでくれたのだけれど……。
「みーちゃんって膝下サイズが限界じゃなかったの!!!?
これ2mはあるよね!!?しかもこれ実質1対2になるよね!!!?」
と抗議されてしまった。
確かに1対2に見えるけど、私はその場から嫌でも動けないから、基本的にはみーちゃんだけが戦うんだよなぁ……。
まぁ、みーちゃんではなく私との接近戦になるなら私も足技がなくても一応戦えるから1対2になるけどね。
でもそうやって自分のクリスタルが割れるデメリットを減らす為に、私はみーちゃんを自分の距離から離れさせながら戦わせている。
という私の能力のネタばらしはしないまま一宮さんの相手をしていたら、難なくみーちゃんを一宮さんに触らせることに何度も成功して私も圧勝してしまっているというのが今の状況。
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