双子の豹【ミカグラ学園組曲】 (ページ39)

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【37】これでも私は乙女なんですページ39

一宮さんは私が拗ねてるのを不思議そうに見て、

「どーしたの悠香ちゃん?
もしかして赤間君とセットみたいに呼ばれてるのがムカつくとか?」

一宮さんナイス!!!!!君が鈍感で助かったよ!!!
ってことでその言葉に便乗させてもらうね!!!

『そう!!!私はいっっっつも!!
赤間妹って呼ばれてるのは気にくわないんですよ!!!
だから今後はちゃんと、名前で、呼んで……ほしい……です……』

勢いに任せて言い出したけれど、だんだん恥ずかしくなって後半の声が小さくなる。

「あぁ?赤間の双子の妹だから赤間妹でいいだろ。
つーか、昔からこの呼び方だから今更変えんのは……」
『ですからその遊兎のおまけ的な扱いはやめてくださいっ!!!!!』

先輩の言葉を遮ってガルル、と噛み付くように、私にしては珍しく大声で抗議する。

「ああ、そういうことか。
そりゃ悪かったな、悠香。……これでいいよな?」

意外とあっさり納得してもらえたらしく、九頭竜先輩が少し照れるように目を合わせないまま、やっと私の名前を呼んでくれた。

でも、急に初めて名前を呼ばれて私は思わず顔が赤くなる。

するといつの間にか私の隣に移動していた一宮さんが、

「えっ、悠香ちゃんってまさか九頭竜先輩のこと……」
『!!!?ち、違う!!!べっ、別に私そういうアレじゃないからっ!!!
あっ!!そ、そうだ!!!私そろそろ部室に戻んなきゃいけないからもう帰るね!!!じゃっ!!!』

私は耳まで真っ赤にしながら全力で否定して、ついその場から逃げるように走り去って行ってしまった。

『あ、危うく一宮さんにバレるところだった……』

いや、もうバレてるのかもしれないけど。
まだ確信まではされていない筈だ。……多分。

鈍感な人でもさすがにお察しだろうが、実は私は九頭竜先輩に好意を抱いている。

最初は彼のことは中間試戦で試合を一度見たことがある程度だった上に興味すらなかったけれど、この人と出会った去年の夏頃から、気付いたら私はこの人のことを好きになってしまっていたのだ。