【25】モーニングスペシャルセット ページ27
翌朝、今日の朝食は演劇部のみんなとする約束があり、今みんなと一緒に既に遊兎が決めていたらしいレストランへと向かっている。
『_____で、遊兎がその手に持ってる号外には何が載ってるの?』
「あ、気付いた?実はさ、こんな面白い記事が載っててね。
今回のレストランもそれで決めたんだ」
やけに楽しそうにしてる遊兎がそう言いながら私に渡してきた号外を読んでみる。
『……新聞部って本当にこういうどうでもいい記事まで書くんだね……』
呆れ顔でそう呟き、何々?と気にする他のみんなにも号外を回す。
そしてみんなと一緒にレストランの中に入ると、そこには予想通りあの子がいた。
「やー、一宮ちゃん」
遊兎のその一言で一宮さんが私達の存在に気付いたらしく、私達はそれぞれ手を振ったり頭を下げたりで一宮さんに挨拶した。
「あつ、赤間兄妹と演劇部の皆さん!!!
どもども!!体験入部の時はお騒がせしちゃって!!」
「本当だよ。台風みたいに大暴れして一瞬で去って行った的な感じでさー」
一瞬で去っちゃったのは私達兄妹のせいなんだけどね。
「いや、そんなぁ……」
「いや、どこも褒めてないからね!!!?
なんでモジモジしてるの!!?」
さすが一宮さん。今日も変わらずポジティブ思考だね。
でも、遊兎と一宮さんがこんなに仲良くしてる姿を見ると、なんだか微笑ましく見える。
すると遊兎が、
「新聞部の号外で見てきたんだよ。ほらっ」
そう促すと、にゃみりんが嬉しそうに先程の号外を一宮さんに差し出す。
やっぱりこれを見せた時の一宮さんの反応を見たかっただけかお前。
新聞部の仕事のスピードに驚いている一宮さんは、ビミィ先生(以前一宮さんから名前…というかあだ名?を聞いた)から説明をしてもらっていた。
「ミカグラ学園の新聞部は優秀なんだりゅい!!
端末への新聞配信とは別に、速報がある時はこうしてアナログな紙での無料号外の発行も行っているのだりゅい〜」
それを聞いてワクワクしながらその号外に目を通す一宮さん。
しかしその号外に大きく書かれた見出しの文字は……。
[話題の新入生 一宮エルナさん 調子に乗って朝から豪遊!!?]
「な、なにこれぇぇぇぇええええ〜〜〜〜〜!!!?」
見出しの隣にデカデカと掲載されている写真は、一宮さんがさっきまで食べていたらしいモーニングスペシャルセットに入っているパンケーキに思いっきり大口を開けてかじりついている一宮さんの姿が写し出されていたのだ。
これじゃあ新聞というより、写真週刊誌にしか見えないよ新聞部さん……。
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