【1】舞台裏 ページ3
〜新入生歓迎パーティー開始前〜
『……ねぇ、遊兎。何度も試して言ってるけど、やっぱり遊兎の分身には触れないみたい……』
「……ま、当然だよな。これが全部俺の実体だったら怖えーし」
以前、遊兎は少数の分身を細かく動かすのは可能だが、一度に大量の分身を一つ一つ細部まで動かすのには限度があると言っていた。
だからその大量の分身のいくつかを私が操ればと、私達兄妹と同学年の友人である袴姿の背の小さい少女、八坂ひみが提案したが、そもそも分身に触れられる訳がないという結果に。
「うぅー……。赤間っちの大量の分身を悠香ちゃんが操れば絶対に面白いと思ったのにぃー……」
『……ひみちゃん、試す前にも言ったけどさ、』
「『多分それ皆ビビると思う(的な)……』」
大量の遊兎が一斉に其々細かく違う動きをするとか誰特なんだよ!!?怖過ぎるわ!!!
「はいはい、遊びはもう終わり。
パフォーマンス的なのは練習通りにやるよ」
事前にパフォーマンスの練習をしていたらしい遊兎は呆れながらそう言って立ち去ってしまった。
「ぶぅーぶぅー!!!これじゃあひみが考えた今度の対抗戦での赤間っち対策が台無しだよー!!!!」
『遊兎対策?いつの間にそんなの考えてたんだ』
「へっへーん!!それはねっ、悠香ちゃんがひみと組んで赤間っちの分身を全部止めるっていう作戦なの!!」
自信満々にドヤ顔で「天才でしょー!!!」と言っているひみちゃんに私は真顔で、
『いやいや、2対1はダメっていうか無理だし、まず私はひみちゃんより遊兎の味方をするから。
あとさっきも言った通り、分身には触れな……』
「そんなぁ!!!?悠香ちゃんの裏切り者ー!!!!」
言い終わる前にポカポカとひみちゃんに叩かれるが、全く痛くはない。
『そういえばひみちゃん、もう始まる時間じゃないの?』
「あっ、ホントだー!!!!じゃあひみ行ってくるねー!!!」
大きく手を振りながらパタパタと表舞台へと走っていくひみちゃんに私も小さく手を振って見送る。
『……さて、私も自分の仕事をしよう』
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