五通目 ページ6
城下町を訪問する機会が少なかったのが祟ったのか、Aは容易に迷子になってしまった。迷路構造の道の行く先がわからず、行き来を繰り返した故である
城の方角は分かるが、それが見える大きさや位置も当初と変わらぬように見える
今更ながら帰宅してしまいたいと切に願うけれど、Aは先程通りがかった兵等が嫌な話をしているのを聞いてしまった
「件の女性が逃走したらしい」
「どうやら機密文書の内容を盗み見たとか」
「敵国のスパイだったようだ」
全く別の事案である可能性はあるが、Aには思うところがあった。かなり脚色されてこそいるが、状況的に自分の事なのではと
機密文書もなにも城に立ち入ってさえ居ないし、そもそも城に近づくことすら叶っていないが
何はともあれ、噂話の末恐ろしさを体感した。そもそも何故こうなったのだろうか。Aは迷子の少年を助けただけだが、それが失敗だったのだろうか
事情はともあれ今後とる行動の最善策が不明瞭だ。帰宅すれば衛兵が待機しているかもしれないとすれば逃げ場なし
『どうしたものか』
思考する中でふと感情を吐露すると
「どする？」
という、飄々とした返答が暗い路地に木霊した。何処か聞き覚えのある声である
思わず声のした後方を振り返れば、緑のパーカーを着た男が陰る顔に笑みを張っていた
その容貌はAも知っている。この国の幹部である男、ゾムと瓜ふたつの姿。味方最大の脅威と呼ばれる男だ
「迷子探しは専門外なんやけどなぁ？」
嘆息混じりに彼が吐き出いた言葉にAは、咄嗟に嫌な何かを感じた。状況からするに迷子とは私のことだろう
『えっと、私に何か御用が？』
問うその声は自覚するほどに震えていた。相対してAが浮かべた愛想笑いは、きっと醜いものだろう
「グルッペンがまちぼうけだってよ」
彼の言葉で全てなんとなく察しがつく。矢張りこれは大掛かりな仕掛けなどではなく、正真正銘の総統閣下からのご招待だと
そしてAは噂から鑑みると、不都合ややましいことがある故に逃げたと思われているのだろうか
疑心をどうやって払拭したものかと悶々と思考を張り巡らせるが、目の前の幹部は待つ気など毛頭ないようで
「とりあえず俺は仕事させてもらうで」
Aが瞬いた刹那、彼は既に目の前に立っていた。目を見開く間もなく、項を衝撃が襲う
頭への圧迫感と共に意識を強制的に剥がされ、同時に何か──硝子のようなものが割れる音を聞いた
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Rin - ススススワンプマン？！ (2021年2月28日 12時) (
レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます。総統はあくまで「総統」で幹部じゃないと考えているので、十一ですよ！ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - あの、もしniさんとciたんを含めないのであれば、既存の幹部（総統を含めていると仮定すると）12人な気が…(11人と記載されていたので)(総統様含まれてなかったらすみません)(続き読んできます←) (2019年12月4日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - mikazukiさん» ありがとうございます。お言葉どおり、暖房と布団を駆使してあったまりながらじゃんじゃか更新させていただこうと思います (2018年12月18日 23時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
mikazuki - めちゃくちゃ面白いです！！続きがとても気になります！最近寒いので体調管理をしっかりしてどんどん更新してください！ww待ってます (2018年12月18日 22時) (レス) id: 1c820def12 (このIDを非表示/違反報告)
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