二十三通目 ページ24
グルッペンが発声するのを待つような、無言の時間が続いた。先程まで騒ぎ立てていたはずの幹部たちも今では、何故かやけに静まり返っている
誰も口を開かずに、総統であるグルッペンへと目線を向けていた。大事な発表か何かがあると事前に通達を受けていたのだろうか
ただ一人、トントンだけがグルッペンのようにAを注視している
Aの中にある昨日の記憶だと、ここに移住するというのはほぼ決定事項のようになっていた気がする
その事に関しての幹部たちへの説明か、それともAが知らずに何らかの不備を起こしてしまったか
そもそも、ただの国民が成り行きとはいえ城に住むなど前例のない事態である。グルッペンに誘われたという事情がもしも幹部全体へ浸透していないのであれば、反対意見も湧くだろう
腹の奥底に疼く不安感で胃痛すら覚え、Aの首筋を冷や汗が伝う
しかしグルッペンはAの心配など露知らず、くつくつと肩を揺らして笑っていた。理由のわからないそれにさらに不安を抱き、Aは気圧されて萎縮する
助けを求める視線を直近に居る面の人へ向ければ、彼は宥めるように一度軽くAの頭を撫でた
「大丈夫大丈夫。さすがのグルッペンも、君を取って食おうとは思ってないよ」
朗らかな声音で返答をされて、Aは肩の荷が降りたように少し安心感を覚えた。しかしグルッペンは面の人の言葉が気に食わないのか、口をすぼめて文句を言い始める
「一体俺を何だと思ってるんだ」
「少なくともこの娘は、グルッペンを怖いおじさんだと思ってるんじゃない？」
「おじさんって歳じゃないだろまだ」
「若い娘からみたら年上の男性なんておじさんでしょ。というか、ずっと笑って用件話さないグルッペンが悪い」
面の人が容赦なく切り捨てると、グルッペンは言い返せなくなったのか押し黙り、罰の悪そうな顔をする
既に今のやり取りを見てAは、グルッペンという人物が自身が想像するよりずっとまともな人なのだなという自覚を得ていた
Aがこれまで彼に抱いてきたイメージは、数ある戦争に果敢に挑んでは勝利を掴む軍神という大仰なもの。しかし彼も矢張り、Aと変わらぬ人間らしい
《普通の人間》であるかはわからないとして
「まぁそれも一理ある……A、緊張することなどない。休め」
その言葉に頷いて、Aは直立していた姿勢を緩める。そして小さく嘆息をすると、再びグルッペンに向き直った
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Rin - ススススワンプマン？！ (2021年2月28日 12時) (
レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます。総統はあくまで「総統」で幹部じゃないと考えているので、十一ですよ！ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - あの、もしniさんとciたんを含めないのであれば、既存の幹部（総統を含めていると仮定すると）12人な気が…(11人と記載されていたので)(総統様含まれてなかったらすみません)(続き読んできます←) (2019年12月4日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - mikazukiさん» ありがとうございます。お言葉どおり、暖房と布団を駆使してあったまりながらじゃんじゃか更新させていただこうと思います (2018年12月18日 23時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
mikazuki - めちゃくちゃ面白いです！！続きがとても気になります！最近寒いので体調管理をしっかりしてどんどん更新してください！ww待ってます (2018年12月18日 22時) (レス) id: 1c820def12 (このIDを非表示/違反報告)
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