二通目 ページ2
その日は珍しく四限の午前授業だったため、Aは早足で帰宅の途についた。頭の中では、帰り際の友人の言葉を反芻する
「でもさ、本当にあったらいいと思わない？招待状」
確かにAも、そう思いはする。しかし現実は甘くない。存在しないというのが事実なのだから、変革のしようがないのである
叶わぬ無駄な夢は思い描くなと、そう自身に暗示するように思いながらも家の付近までたどり着くと──ふと玄関前に見えたのは、軍服を着た男の影
遠目から見る限りでもその服装は、かなり身分の高位なお偉い人のものだろう
何故そんな人が我が家にとAは一瞬訝しげに思いながらも、このまま怖じて帰宅しないわけにも行かず、門戸へ近づく前に身なりだけは整えておこうと、髪をなでつけ制服のしわを軽くのばした
自身の容貌を正すと、探るようにその軍人へといくらか高いトーンで声をかけた
『あの、私の家に何か御用ですか』
男がAの姿を目視してから数秒時間をおくと、彼は瞬時に精悍な顔つきになり
「貴嬢はA・ヴィジィール様とお見受けしますが、間違いありませんでしょうか」
と問うのだった
確かにA本人であるが、どこか上位のものを扱うような言動をしている彼にAは顔を曇らせる
そのような口ぶりで接される理由がわからない、疑心がつもるAの思考も露知らず
男はまるで戦線報告をするかの如く声を張って続けた
「貴嬢へこれを」
そういって差し出されたのは、一瞥するだけで、高級紙であることが分かるほどのものである便箋
ふと目が止まった封蝋に刻まれていたのは、硝子の靴の印
瞬間、頭を過ぎった昼間の会話
理解ができないままに便箋を開くと、紙が一枚のみでてきた
精白な画面に綴られた簡潔な一文
【我が居城へと招待する グルッペン・フューラー】
Aは思わず目を見開いた
かの人の筆跡などはわからないが、紙や便箋や封蝋の材質、訓練されたであろう軍人の態度からも、嘘という線は薄いと思われる
Aの視線を掴む【グルッペン・フューラー】という記名
理解が及ばず、目眩がしそうになる感覚をぐっと抑えた
『これは──』
なんですかと疑問を投げようとしたAの言葉をさえぎって、軍人は左胸に右手をあてる行為をとった。我々国での敬礼である
「これより貴嬢を、城へとお連れいたします。国の重鎮と合うにふさわしいよう身支度をお整えください」
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Rin - ススススワンプマン？！ (2021年2月28日 12時) (
レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます。総統はあくまで「総統」で幹部じゃないと考えているので、十一ですよ！ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - あの、もしniさんとciたんを含めないのであれば、既存の幹部（総統を含めていると仮定すると）12人な気が…(11人と記載されていたので)(総統様含まれてなかったらすみません)(続き読んできます←) (2019年12月4日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - mikazukiさん» ありがとうございます。お言葉どおり、暖房と布団を駆使してあったまりながらじゃんじゃか更新させていただこうと思います (2018年12月18日 23時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
mikazuki - めちゃくちゃ面白いです！！続きがとても気になります！最近寒いので体調管理をしっかりしてどんどん更新してください！ww待ってます (2018年12月18日 22時) (レス) id: 1c820def12 (このIDを非表示/違反報告)
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