四百二十二通目 ページ23
Aが会議室に辿り着いた頃にはもう、既に付近の廊下は人で埋め尽くされていた
男特有の汗くさい匂いが充満する、会議室前通路
程々に広いはずのスペースには、人、人、人ばかりの人だかり
ざわざわと波風の立つ騒がしい合間を、Aは嫌々ながら掻き分けて進む
小柄な体だけれども、体格の良い男に挟まれれば当然痛いし、今はブーツだから歩き難い
ぎゅうぎゅうとうどん生地のようにこねられながらも、Aはようやっと扉の前に辿り着いた
扉の前には、数名の教員が壁を作るかのように警護を行っており、気性の粗そうな生徒の入室を拒んでいた
それにしても喧騒の中心部は、雑音ばかりで耳が痛くなりそうだ
それに、騒がしいせいで室内の会話が聞こえやしない
一体どの幹部がやってきたのか、誰が選出されたのか、何もわかりやしない
苛立ちと不愉快さは募るばかりだった
御人が部屋から出てくるのを待っていたって、どうせすぐに観衆に取り囲まれて、Aは蚊帳の外へと放り出されてしまうのだろう
であればもう、一刻一刻を失うことすら致命傷
Aは人身の合間を再び掻い潜りながら、扉の最前列へとたどり着いた
「入室は許可出来ない！下がりなさい！」
数名の事務員が、度々そんなことを皆に呼びかけている
このざわめきの中では、さして遠くまでは聞こえないものだろうけれども
考えていても仕方ないと、Aはドアレバーに手を伸ばした
──だがしかし
「勝手な行動をとるな！」
そう言って、事務員の男に、強めに手を叩かれる
ぱちんと鳴った音とともに、Aの手にヒリヒリとするような痛みが広がった
思わずさすりながらも、男を恨めしそうに睨むが、相手はどこ吹く風という──それどころか少し誇らしげだ
女性の手を叩いておいて素知らぬ顔をするだなんて、男の風上にもおけない
──もしこれが、鬱先生なら──
否、考えるのはやめにしよう
今この状況で、思考することは意味なんてない
そう、心の中で嘆息をする
「うるせぇ、退け」
Aは端的な宣言とともに、事務員の男の顔に、拳を御見舞するのだった
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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