三百五十九通目 ページ10
目覚めてからどれくらいの時間が経過したかはわからないが、太陽はもう間もなく真上に登ってくる
景色を眺めていれば、時間の流れは大して遅く感じられなかった
山々を抜け、木々が行き過ぎていくような動きは、いくら見ていても飽きない
木漏れ日に目を向けながら、ふと御者席に座る兄さんに、箱の裏から声をかけた
「あ、そうだ。また今度手合わせしましょうね兄さん」
結局今回は、手合わせどころか訓練すら行えなかったのだ
彼がまだ訪れていない頃から、研究の合間に自己鍛錬は行ったけれども
鏢についた幾つかの付加属性も操れるようになったのだから、ぜひ兄さんに見てもらいたかった
まだ誰にも見せていないのだ、その付加属性については
兄さんが驚く顔が見ものなのだけれども
「まぁまぁ、次の街行って暇があったらな」
木箱の向こうから、そんな返答が来る
暇なんてあるのだろうか
露店商なんてしたことがないからわからないのだけれども
「はぁい」
と生返事を返すと、また幕の奥の景色に目を向けた
よくよく思えば、こうして別の国の中を移動することはおろか、我々国すら旅をしたことがない
未だ、移動手段が確立していないのだ
富裕層は車という物を持っているが、平民はそれほどでもなく
日々の情報はラジオで聞き、移動は徒歩や自転車
農耕や商人は馬を使うこともある
遠出する場合は、馬車を捕まえて金銭を払わなくては
思えばまだあの国も、不便なところがあるようだ
よくよく考えてみると、機能が充実していたのは中央街ばかりだった気もする
建国から十年経つか経たないか程の短い国だから、未だ不自由があるのは普通なのだろうけれども
そういえばAは、いつからあの国に住んでいたんだっけか
小さい頃のことはよく覚えていない
ふとした時──中等部に所属する頃にはもう、我々国の国民だった
引っ越してきたのか、生まれながらなのか
まぁ、過ぎたことだからどうでも良いのだけれども
「もう少ししたら馬休ませるから、そんときに昼食食べよな」
ぼーっと考え事をしていると、後方から兄さんの声がかけられた
そういえば起きてから何も食べていなかったなと、自分の腹の空きを自覚する
「はーい！」
と先ほどとはうってかわって元気な返答をすると、兄さんは呆れたように笑っていた
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萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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