三百八十五通目 ページ36
──兄さんは唖然として、言葉も出なかった
半年ほど前に一度、故郷である我々国を訪れたとき
既にアルマはもう、そこには居らず
後任である二代目メイド長が指揮をとる、新体制になっていた
最後に一度ぐらいは会いたかったものだと、思ってはいたけれども
まさかこのような形になるとは、予想もできなんだ
再開の喜びもあるけれども、唐突すぎることによる驚きのほうが、かばかりか大きい
──アルマはただただ、自分の目を疑った
何故彼がここにいるのか
否、それは然程問題ではない
【兄さんという男ならば】
ここに訪れることも、ありえない話ではないのだ
ただ、出くわしただけであるのだから
別にやましい何かがあるわけではない
出会えたことは、もちろんとても嬉しい
だがしかし
何故、何故彼が
Aと共に行動をしているのか
【戦死扱いとなった幹部】と【現幹部】が、共に路店商を行っているのか
兄さんは、Aの存在を知らないのだろうか？
──その可能性は高い
彼はほとんど城に滞在していないのだから
一年の内に一週間いるかどうかなぐらいだ
それならばつまり、新たな幹部が就任したことも、その人物が戦死したことも、何も知らないのか
──知らないといえば、Aも兄さんのことを知らないのだろうか？
自身が共に行動する男こそ、自身が帰りたいと欲する国の人間であり、先輩であると
知らないのか？
教えるべきなのか？
「久しぶりやな、アルマさん。退職したとは聞いとったけど……まさかこんな形で会うとは思っとらんかったわ」
苦笑いをしながら手を振る彼に、アルマは「そうですね」と作り笑いで返した
板挟みな状況の中で、どう動けば良いかわからない
「あの、連れの女性の方は一体……？」
「ん？嗚呼、例の先生んとこの弟子。仕事に支障はないし、なんなら有り難いぐらいだから気にせんくてええよ」
「は、はぁ」
くられ先生宅でのことは、A本人からも聞いていた
──兄さんの認識は、そこまで──くられの弟子であるところまで──だとということが、たった今証明されたけれども
これはいささか──Aが不憫すぎるのでは、ないだろうか
「これからは、どちらへ？」
「うーん……ガヴィルのまわりぐるってしながら、もっかい国帰ろうかってとこやな」
それならば、もしかしたら
Aの生存が、幹部皆々に確認されるのではと
アルマは僅かに期待を抱いたのだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1969人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
