三百十五通目 ページ16
「……ッみんな……！」
一頻り涙を流した鬱は、その双眸を真っ赤に腫らしながら、室内に飛び込むように入った
轟音とともに入室した彼に、唖然呆然としたままの皆が振り返る
「ッ……Aちゃんの声、聞こえたッ……！生きてるんや、生きてるんや……！」
拙い言葉で、必死にものを伝える
「なんて言ってたかわからんのやけど……でも、でも──」
「……頼むからちょっと、静かにしてくれないか、大先生」
──しかしその、まくし立てるような声を冷静な語調で制止したのは
腕を組んで俯いたままの、グルッペンだった
「──もう皆に、無駄な希望を植え付けるのはやめてくれ」
「ッ嘘、や……ないんよッ」
「嗚呼、知っている。お前が嘘をつくような性格ではないのは」
──お前が一番、あの女の声を聞いていたのだから
耳に残った声をふと思い出すのだって、おかしな話ではないだろう
「追慕……？そんな、まさか」
「……ロボロに解析を頼んだ」
先程のノイズに、人生は混ざっていない
それが、解析の結果だった
ノイズのわずかな隙間にも
どこにも
一瞬たりとも
「……じゃあ、僕が、聞いたのは……？」
「ッ……攻め立てる意味ではないと、理解してほしいが」
──どうせそれも、幻想に過ぎないのだ
鬱は、膝から崩れ落ちた
またその目から涙が流れる
しかし、何も感じなかった
ただ無機質な感情
一瞬見えた希望が、絶望に変わる感覚
塗り替えられて、空虚だけが残る、喪失感
「……僕は、諦めへんよ」
色のない表情で、鬱はぽつりと言葉を紡ぐ
例え、この国内で彼女が、逝去扱いになろうとも
自分の聞いた声が、錯覚だとしても
「例え何処で迷っても、僕が見つけてあげるからな」
──それが、遺体だったとしても
「嗚呼……これでは、あの人に顔向けができないな」
グルッペンが、独りごちる
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みたら士(プロフ) - 名無しの××さん» ありがとうございます……適度に休憩しつつ更新させていただきます、お待ちください！ (2020年1月3日 23時) (
レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの×× - この小説が大好きです。大変だとは思いますが更新頑張ってください。応援しております。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 妖那。さん» ついにですね……でももう少しで�柴�りそうになっちゃいました。ご心配ありがとうございます、ゆるりと更新していこうと思います (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - ブンブンさん» 満を持して登場です、続編来ちゃいました (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
妖那。(プロフ) - ついにVIIですね…!体調を崩さない程度に更新頑張って下さい！ (2019年12月20日 22時) (レス) id: 4a3820ee7b (このIDを非表示/違反報告)
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