三百十四通目 ページ15
直後流れたのは、雑然としたノイズ
放映の砂嵐のような、ガサガサと荒れた音
ザ、ザザーッザ、ピ、ザザッ
ところどころで聞こえるのは機械音
起動しているのか否か
何処かに落ちてそのまま故障しているのか
「……ッくっそ、返答がない……！」
高感度マイクでも、その先の声は聞き取ることができず
何にせよ、今そのインカムの奥にAがいないのではという線は、濃く強いものとなっていた
ここで応答がなければ
──Aの扱いは、戦死者と成り代わる
初戦で采配を振り、儚く散った華の秘書官
──ただ一人本部に残された、ベリヌーイという指揮官補佐が言っていた
「彼女は、皆に被害が及ばないよう、遠方まで走っていった」と
その発言が嘘ではないことは、Aが駆け抜ける様を見ていた負傷兵の証言で明確
Aは今
存命しているか、死しているかの二択のみである
「──ッ、A、Aッ！聞こえとらんのか、Aッ！」
ガー、ガッ、ピ、ザ、ザザザ、ザーーッ
いくら叫ぶように訴えても、返ってくるのは虚無のような機械音のみで
──皆の顔に、絶望が灯り始めていた
「ッ……A……？なぁ、Aィ……」
必死の剣幕でまくし立てていたロボロの言葉尻が、だんだんと窄んでいく
もう、理解したのだろう
理解してしまったのだろう
最悪の線を
Aの命の、行く末を
「ッッッAッ！」
──鬱先生が、悲嘆げに彼女の名を叫んだと同時に
ィィィィィィイイイイン……
緊急用モードの終了を告げる機械音が、淡々と思考を通り過ぎていった
皆はただ、今の音がなのか、理解できないでいた
──動作停止音であることを、受諾したくなかった
【A・ヴィジィール 戦死】
無機質なその一点の思考だけが
煮凝りのように残る
──しんと、静まり返った部屋を、人知れず出た鬱先生は
閉じたセキュリティルームの扉にもたれかかり、崩れるように座り込んだ
「Aちゃんの声……ッ……聞こえ、たッ！」
双眼を濡らす涙が、堰き止められずに溢れ出る
口の中に広がる塩味も
頬を流れる冷たい感触も
今では、生を実感する糧だった
──自身の生も、彼女の生も
「生きてるんや……ッ！」
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みたら士(プロフ) - 名無しの××さん» ありがとうございます……適度に休憩しつつ更新させていただきます、お待ちください！ (2020年1月3日 23時) (
レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの×× - この小説が大好きです。大変だとは思いますが更新頑張ってください。応援しております。 (2019年12月29日 15時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 妖那。さん» ついにですね……でももう少しで�柴�りそうになっちゃいました。ご心配ありがとうございます、ゆるりと更新していこうと思います (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - ブンブンさん» 満を持して登場です、続編来ちゃいました (2019年12月22日 21時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
妖那。(プロフ) - ついにVIIですね…!体調を崩さない程度に更新頑張って下さい！ (2019年12月20日 22時) (レス) id: 4a3820ee7b (このIDを非表示/違反報告)
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