二百五十六通目 ページ7
「……嗚呼、聞こえとるで。よう、聞こえとるわ」
二人の会話に割り込んだのは、鬱先生の声
──何処か尖った口調のそれ
「大先生、そっちは……観測所はどうや」
「三名の無事を確認した……残り三名は、川の下で死んどった」
──付随された言葉に、Aは声を失う
間に合わなかったか──いや、生存者がいたことを喜ぶべきなのか
暗澹とした思いの片隅で
──ふと、疑問が首をもたげる
「──川の下って、どういうことや」
代わりのようにその質問を投げた声は、トントンのもの
冷えた声音は恐ろしく、Aは芯が凍るような感覚を覚える
「ッガヴィルの連中、殺した遺体上流から捨てよったッ……！」
──遺体を、川に、捨てた？
耳に入った単語が理解できず、頭の中でぐるぐる回る
捨てたというのは、放棄と同義であるか？
遺体を？
──あの懸河の、中に？
ようやく繋がった言葉
理解した直後、Aは無意識に自身の手が力むのを──手に持っていた鉛筆が折れる音で、痛感した
マジマジと手元を見つければ、真っ二つに折れ曲がったそれ
指に刺さったささくれが、Aの意識を現実に戻す
「ッA殿……！」
「……ベリヌーイさん、ちょっと皆と作戦練っていてください。こちらで少し情報交換を行うので」
「……御意」
平坦な声音でベリヌーイに告げると、Aは隅に合った椅子に腰をかける
そうしてまた、インカムの奥でかわされる会話に、耳を澄ませるのだった
「A、戦況は？」
トントン投げた疑問
Aはニ、三思考したあと、考え込むように低い声音で返答をする
「良くも悪くもありません。勢力的にはこちらが押していますが、何分消耗が激しく……手数で圧倒される可能性もあります。至急、援軍を」
「了解。あの諜報の女の話、聞いたか？」
「嗚呼、ベリヌーイさんのことですか？」
「おう……各個撃破、それがなんの意味かわからんのや」
──それは未だ、Aにもわからない
悩むようにして、眉間に寄ったしわを伸ばす
各個がなにを示すのか、理解が及ばないのだ
──いや、考えが一辺倒になっている、か
そうおもってAは、ガヴィルの目線になった
「ッベリヌーイさん」
──もしもあなたが未だガヴィルの人間だったら、一番の脅威となり得るのは？
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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