二百九十六通目 ページ47
手荒な迎えをよこした自身の弟子に僅かに呆れながらも、友人と彼女の自己紹介を眺めるくられ
ふと疑問に思ったように、その目をAに向けた
「そいえばヴィル君、そんなに慌ててどうしたの？」
「ッ！嗚呼そうでした忘れてました。くられ先生！研究所行きましょ、研究所！」
くられの裾をぐいぐいと引っ張りながら、Aは無邪気な子供のように急かす
当人のくられは友人と顔を見合わせて苦笑いをしながらも、荷をそのままに彼女についていくのだった
どうせ山奥だ、村だって遠い
山賊もいない平和なこの場所で、盗難なんて起きるはずもないのだから
少しぐらい荷物を放っていても、何も変わりはしないのである
「はやく、はやく！」
と歩みを催促する彼女に、まるで親のように
「はいはい」と軽くいなしながらも
くられは彼女が言うままに、研究室へと足を踏み入れた
「それで、どうかしたの？」
三日前とは何ら変わらない、その部屋
しかし何処かきれいになっているように見える
思えばリビングも、余計な物が仕舞われていたようだった
頼んでいたとおりに、掃除をしてくれたのだろうか
「えっとね、私、考えてたんですよ、この三日間。くられ先生のあのポーション、どうしてあんなふうになってるのかなぁって」
嗚呼、自分が出した課題のことか
くられは心の中で納得した
意地悪をして言ったような事だけれども、彼女なりに頑張っていたようだ
物事は、たとえ答えは導き出せなくても、考えてみること大事
彼女の頑張りの形がどうなってしまっても、褒めることがまず支えとなる
それが成長の糧につながると、信じて
「それで？一体なんだと思ったんだい」
ニコニコと笑いながら、子供を見守る親のように、くられは言う
「くられ先生……ほんとに鬼みたいなこと頼んだんやな」
「まぁ、簡単なことばかりじゃあ成長できないからね」
「ちょっと待っててくださいね
〜」といいながら、棚から何かを探し始めたAを横目に
友人とくられは、小声で会話をする
友人は呆れたように嘆息をすると
「これで心折ったらどう落とし前つけんのやろ」
と、やれやれと肩をひそめるのだった
「嗚呼あった！これです、これこれ」
早足でちかよってきたAが、くられに手渡した紙の束
友人がそれを覗き込む中で一枚目をめくると、そこには
【多方面から見た人体を湾曲させるには】
と書かれていた
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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