二百六十九通目 ページ20
「手前らなんかっ、腹に風穴あけて足吹き飛ばして心臓突き刺して、脳髄撃って腹蹴ってッッッッ！」
「川の上流から、捨ててやる！！！」
堰を切ったように吐き出される、殺意の数々
Aの目は正気ではなかった
思考戦略、考えていたはずの諸々を放棄して
──こいつらが、攻め行ってこなければ
自然豊かな森が焼失することも、仲間が次々と絶命せしめることも
愛する存在が、致命傷を負うこともなかったのに
今頃は城の中で鍛錬でも会話でも仕事でもして、【いつもどおり】を過ごしていたはずなのに
「全部、全部ッッッ！お前らが悪いんだっっっ！」
──返せ、私から奪ったものすべてを
そうどなり声をあげる
吐き出す声はおおよそ普段のAの口から述べられるような、柔らかな声音ではなくて
嗄れた、がなり声にも似たそれ
汚い言葉遣い、流れるように吐露される暴言、殺害宣告
必死さで顔は歪み、その目の赤は──温かい色を、していなかった
シャオロンや鬱先生が稀に見せた、その瞳の赤
──よもや、紅
煉獄、祝融のような
殺意の象徴たる、色
フゥーフゥーと荒い息と共に、Aは取りこぼしていたナイフを拾う
自身の目元を拭った
──それを追随するような涙は、流れてこなかった
姿勢を低く構えると、ナイフを振りかぶる
何も考えることはない
ただ、この男を確実に絶命せしめれば良いだけの話
その後のことは、その時だ
──確立した思考
直後、踏み込むAの四肢
出した足に目いっぱいの力をこめると、その反動で一気に加速する
──懐に入り込むのは、一瞬だった
「ッッッい゛っでぇぇぇ！！」
翳したナイフが、敵の右肩を貫く
柄まで通ったその鋭利な刃
生々しい感覚が腕を支配する
反動という痛みがかけめぐる
──しかしAは、顔色一つ変えなかった
ただこの男に対する──ガヴィルに対する怒りだけが、痛みと毒気に染まった体を、本能的に動かしていて
「ッッッ糞がぁぁぁぁ！死ねッッッ！」
激昂した敵
左手に持った刃を振りかざす
──右肩に刃を刺されたままに行うその様は、酷く滑稽で
体の軸は、ぶれていて
「死ぬのは手前ダッッッ！！！」
さされまいとしたAは瞬時に刃を抜き取り、相手の腹部を蹴り飛ばした
鮮血が顔にかかる
一瞬思わず目を閉じながらも、Aの瞳は後退する男の姿を捉えていた
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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