二百六十三通目 ページ14
「ッッAィ！ッ、シッマが足やられたっ……！敵倒しはしたけど……くっそ、シッマ、シッマ！」
「指揮官！ゾム、様が……ゾム様が、私達を……かば……って……！」
「Aちゃんっ！……だ、だいちゃんが……っ！」
「ど、うして……」
Aの耳へインカム越しに──同時に届く、救援催促の叫び、嘆き
Aはただ、絶句していた
だってまだ、戦争は始まったばかりではないか
これから順々に戦争が運ばれ、そして決着がつく
そのはずなのに
──そうなるはずだったのに
何処で計算を間違えた
早期決着を目論んだのが浅はかだったのか
いや、そんな軽んじた話ではない
こうも相手の手中に収まったように、簡単にことが進んでいて
一体どうして、このようなことになったんだ
各個撃破？
一斉攻撃？
あまりにも唐突に──最悪な状況へ追い込まれてしまった脳は、フリーズするばかりで
自身の無力さを、痛感するばかりで
時間がない、考えなければ
「A、殿」
「ッ……なんですかっ」
Aの名を呼んだベリヌーイに、八つ当たりのような荒ぶった口調で返答をする
勢いに任せて彼女に振り向いた、鬼気迫る表情のAに驚愕して臆したのか、一瞬ベリヌーイは口を噤むが
何か──必死そうに、絶望したように、呟くのだった
「……A殿も……幹部、ですよね……？」
──それならばもう、このすぐそばにも──
敵兵の、影が
──爆裂。
閃光で目の前が真白に染まる
何が起きたのか、思考が理解を拒絶した
ただAの耳に入ったのは
忙しなく鳴る足音と
──自身の部下ではない兵の、微かな吐息
瞬時にAは懐からナイフを取り出すと、前方を素早く両断した
「ッグオッ……？！」
唸る男声、知らない声音
──敵兵か
視界が見えずとも、段々と思考が落ち着いていく
閃光弾による目くらましだろうか
──それならば、ここを抜けてしまえば
「ッベリヌーイ！指揮はお前に全任するっ！」
「っA殿？！」
驚いて上擦った、ベリヌーイの声
きっと彼女も閃光をまともにうけ、視界が確かではないのだろう
そんなことはいざ知らず、Aはこの場から離れるため──救護所付近、最大拠点から距離を取るために
きびすを返すと、全力で駆けるのだった
付近の山間、崖の上
川の、上流へと
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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