百五十九通目 ページ10
静寂の帳が降りる暗闇
日も暮れさらに陰ったこの通路は人気がない
足元の芝をふみしめながら、されど一歩ずつ慎重に進む
ここは、東棟と隣接する建物間のちょっとした隙間
人が横に四人ほど並べるような、広いとも狭いとも言えぬこの道は、きっと誰も通りはしないだろう
私ならば、ここを通ろうとは思わない
──まぁ、現在進行系で利用しているのだけれども
この小道をまっすぐ進めば、訓練場へとたどり着く
比較的人がいる可能性が高い場所たるそこまでの道程は安心できるとして
その場自体が問題だった
執務中、書類等を届ける作業のためにそこを訪れると、熱心な新米兵士が懸命に剣を奮い自身を高めようとするのを見かける
つまり、危険ということ
捕まりたくない現状、少し気を緩めるだけで即座に発見されてしまう
例え新人といえど軍兵
さらに幹部らに育てられている故に、その技術力は他国の一般兵等に劣ることはないだろう
警戒の姿勢を怠らないようにしなくては
──この国は、人材が優秀すぎて困る
兵等にしろ侍女等にしろ国民にしろ
思わず小さなため息を吐いた
そしてまた、歩みを進めたとき
「なぁ。違和感感じへんかった？」
聞きなれた──シャオちゃんの声
瞬時に前方と後方の様子を確認する
身を屈ませ、どちらに走り出しても良いように
──しかし、シャオちゃんの姿はどこにもなかった
壁に挟まれた小道は、声が反響する
だから、声量等から位置を判断することは不可能
「上」
その一言を受け上空を見上げれば、ダイヤの【しゃおしゃおシャベル】を振りかざすシャオちゃんが、私の眼前に迫っていた
足で地面を蹴って前方へ身を転がす
狭い通路では受け身を取ることすらままならず、ただ芝の上に投げられたような形で上体を起こした
自身が先程まで立っていた場所は、シャオちゃんが叩きつけたシャベルにより芝が抉れ、隠れていた土が顔を出す
「エマージェンシーシャオロンホール」
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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