百九十通目 ページ41
余裕を見せるためと、実力を図られないため
二口の理由で、Aは決断をした
「ッッッシャオロンっ！」
二階席の手すりに足をかけながら、伏せろの意味を込めAは叫ぶ
敬称については、現状無視する他なかった
シャオロンはそれを耳にしたのか、男との剣をいなすとその腹に蹴りを入れる
「Aッッッ！」
躱すように背を反らしたシャオロンを目視する前に、Aはその拳銃を構え発弾する
痛めた腕を支えるように両手で撃ちだすと、その弾丸はシャオロンの腹部すれすれを過ぎ男の剣を弾き落とす
「ッ──んだ手前！」
剣を持っていた手を抑えながら、男は怒りAを睨む
そんな輩を睨み返しながら、Aは二階席から飛び降りた
「名を聞くなら、自分から名乗りなさい」
「黙れ。極東国の礼儀を押し付けるな」
「──まぁ、貴方の名前は知ってるんですけれどもね」
「ッ、何？」
──フロア上に降り立って、男の顔を正面から見て
Aの記憶の片隅に上擦っていたものが顔をもたげた
ロボロがまとめていた目録の中の、ガヴィル国要注意要人一覧に載っていた、顔と名前
確か──
「ロイ・レビオ。ガヴィル国の諜報員……国際連盟間の、指名手配犯」
「……ッ、手前何もんだ」
「私……は」
隠密。
名乗って良いものかと、Aは思案した
だが、しかし
自身の讃える総統の面目を潰さないためにも、さっさと名乗って倒して捕らえてしまおうと──
「A。A・ヴィジィール。我々国総統秘書官だ。記憶に留めて去ねっ！」
「秘書官……チッ、件の問題児か」
吐き捨てる男の言葉を聞き流しながら、Aはさりげに右見左見すると、二階席の輩を確かめた
全員、このフロアに視線を投げている
しかし同時に、シャッターやダクトという他所も警戒しているようだった
──想定通り、動いてくれているようだ
Aが奴らに目もくれずに飛び降りたのは、二階席に隠れているのがAのみだと悟られないため
攻撃することなく敵の本丸を狙いに行くことで、相手に「もしかしたら未だ誰か潜んでいるのでは」「何か仕掛けてあるのでは」と思考を植え付けることができる
正直なところ大きな賭けだったが、良い方に傾いたようだった
──実際にシャッター奥には既に誰か控えているかもしれないが、この際警戒されるのは仕方なかっただろう
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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