百五十四通目 ページ5
それからは、ただただ虚ろなままに
『どうして……どうして』
そう呟いていた
何処かへ放ってしまった意識を取り戻す鍵となったのは、急に聞こえたノックの音
コンコンコンと、無遠慮に少しばかり荒く叩かれる扉
『……どなたですか』
「僕だよ。しんぺい神」
嗚呼、ペ神様か
用事はなんだろう
気になりはしたが、現状、誰と話す気も沸いておらず、扉へ向けた視線を再び彼方へと戻す
『現在取り込み中ですので、できれば後ほどお伺いください』
「そう。わかった」
声が止む
しかし、去る足音が一向に聞こえない
疑問に思って、再び目線を動かす
その後聞こえた、飄々と軽い声
「そんじゃ、強行突破するよ〜」
地面が鳴動する
ベッドにもたれ掛からせていた背を思わず浮かせ、目を見開いた
扉の方向から、室内にホコリと木片が飛んでくる
──扉の残骸であった
現状を把握できず、跳躍のみで立ち上がり、腕は不自由なまま身構える
扉の奥にいるのがペ神様であるとわかっていても、いきなりの奇襲に何もしないほど、危機察知能力や対応力が腐っているわけではない
──しかし、それも全て無意味に終わって
煙の中奥から、黒い影が迫る
その何かに命中するよう、左足を軸に後ろ回し蹴りを放った
踵が、それをしっかりと捉える
──しかしそれは、なんでもないただの布だった
見覚えのある、薄水色の羽織
はめられたと気づくにはもう遅すぎて、いつのまにか背後をとったペ神様に足をすくわれる
片足を振り上げたままでは対抗することもできず、その場であっけなく尻餅をついた
反撃のために跳躍し、相手と距離を取る
──とろうとした
私の首筋に刺された針
──いわば注射針
何かの液体が流れる感覚が首から伝わってくる
同時に形容しがたい眠気に襲われて、抵抗むなしく意識を奪われた
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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