百八十四通目 ページ35
「ほんじゃあ、いってらっしゃいAちゃん」
車の戸を開き、外へ足を踏み出したAに、鬱が声をかけた
翌日
今日も今日とて、Aは鬱の運転に送迎されていた
朝の集会があるゆえに登校時間は早いが、準備はしっかりと行われている
遅れる要因として考えられるのは、鬱の寝坊だろうか
いつかはそれを理由に、学校に遅刻する日が来るかもしれない
一瞬頭をよぎった可能性に、Aはため息をつきそうになる
「行ってきます……鬱様」
「んもぅなんで僕だけまだ様付けなの？！」
「そりゃまあ……慣れですよ」
──鬱以外は、しっかりと様無しにされたのである
グルッペンはあいも変わらずグルさん
トントンはトントンさんに
オスマンはマンちゃんになった
エミさん、ひとらんさん、シャオちゃんにコネシマさん、ショッピ君にゾムさん、ロボロさん、しんぺいさん
しかし鬱のみ様付けである
──それはまぁ、Aの恋煩いというところだろう
「もういいじゃないですか、遅刻しちゃいますからもう行きますよ私」
「むぅ……気をつけてな、特に右腕」
鬱が心配そうに、Aの腕へ視線を投げる
その右腕には未だに包帯が巻かれているが、長袖のブレザーでどうにかそれを隠していた
あくまでまだ、普通の高校生なのだ
何か起きたときは攻撃等を許されてはいるものの
──そんなことがないのが、一番ではあるのだが
「いってらっしゃい。忘れ物したら、ここまで言いに来てくれて構わへんで？今日はちょっと一服してくから」
「何かあったら通信しますよ」
「見られちゃうやん、生徒に。どうするん？」
「それならまぁ……お手洗いからとか。あとは普通にスマホで電話するように見せかけるとか」
「やだえっち！！」
「うるさい！！」
冗談粧して言った鬱に、Aは顔を赤らめて反抗する
有無を言わさずにAは、乱暴に車の扉を閉める
そうして怒ったように、歩き出したのだが
──ふと、その足を止めて、車窓から中を覗き見た
窓がひらかれているわけではないために、その声は届かないと思うのだが
「いってきます」
至極小さな声で、言い残す
この後に、自身の高校生活が終わりを迎えるとは知らず
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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