百七十八通目 ページ29
「……Aちゃん？」
自身の体に預けられた、Aの体重
問を投げれば、Aは力なく
「……すみ、ません。立てないです」
と答えるだけだった
よくよく彼女の体を見てみれば、その右手は痛々しく血を流したままじゃないか
ここまでいくらかの時間をかけて歩いてきているだろうけれども、彼女の血が止まるようには見えない
無理をさせすぎてしまったのだろうか
──どちらにせよ鬱先生は、Aを連れてグルッペンのもとへ向かうだけだ
弱々しく四肢が投げられたAの体を横抱きにすると、小さく嘆息して歩き始めた
今までこの短期間──今日一日だけでなく、彼女がこの城に来てから
どれだけの負荷が、この体にかかったのだろうか
誰かのせいだと言える立場に鬱先生はいないが、心配にはなってしまうのだ
「チッ」
思わず舌打ちをこぼした
──今回のこの計画だって、一歩間違えばAが死んでしまうというのに
階段を登りきった
Aを横抱きにしているが故にノックすることができず、鬱先生は
「グルちゃん、連れてきたで」
と中に声を投げた
ひどく不機嫌なそれに
「入れ」
素知らぬというように返された低音
呆れながらも、どうにか鬱はドアノブを回して中に入った
総統用の机に鎮座するグルッペンの姿は、誰にも物言わせぬ圧がある
その横に立つしんぺい神も、いつもの温厚な気風とは違って、何やら殺気立っていた
──総じて、圧力が強い
これからのことを鑑みた鬱は、仕方なくAを降ろした
「……立てる？」
「だい……丈夫で……ッッ」
立ち上がりはしたものの、右手の怪我が未だに痛むようで
それでも仕方なくて、鬱先生はゆっくりと彼女から離れ、グルッペンの横についた
「さて、まずはわざわざお疲れ様だと言っておこうか」
「ッ……性格、悪いですね」
「褒めるな、照れる」
「褒めてないッ」
痛みに顔を歪めるAと、涼しい顔をしたグルッペン
相対的な二人を一瞥して、しんぺい神はため息をついた
「それで、聞こうかA。この短時間で、おまえはどんな思考を強く持った？」
試すようなグルッペンの瞳が、Aを射抜く
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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