167話「喪失感」 ページ32
「っ、A！！！」
あれから公園辺りを彷徨いていたら勝己と出会えた。
凄く焦ったような顔をして、肩で息をしているのかというくらい激しく息を切らして。
「……勝己、どうしたんだ。何が__」
何があった、そう問うことは許されず、急に視界が真っ暗に。
抱きしめられたって気付くのに時間を要した。
「ちょ、おい、勝己！？」
とっても走ってきた事を物語る激しい心臓の音。
何をそんなに焦っているのか早く説明してくれねぇもんかな。
「怪我は、」
「…や、してないけど、マジでどしたの。」
「知らねぇのか、今この辺りで脳無が騒ぎ起こしてンだよ。」
脳無……！？といったら先程まで一緒にいた弔達の改造人間…だったっけ？
まさか先程まで一緒だった弔が、脳無を外に放ったってのか。
さあっと顔から血の気が引くのが分かる。
「…やっぱどっか怪我」
「してねぇ！！……してねぇけど、俺、さっきまで弔と居た…。」
段々と声が小さくはなったが、俺がそう言うと勝己は驚いて、青ざめる。
なんで勝己が、そんな顔、
「何言われた、何かされたか、なんでもっと早く言わねぇ。」
抱きしめる力をさっきより強くする。
俺がどこへも行かないように必死に繋ぎとめてるみたいだ。
んな事しなくたってどこにも行かねぇけどな。
「大丈夫だ、何もされて……ない。何もされてねぇから。」
「おい何だ今の間。何かされただろ。吐けオラ。」
ヤクザかよ…。
いや違うんすよ。ほら何もって言ったけど、えっと、キスはされたんですよね。
まぁ態々言うもんでも無いかなって。
「大丈夫ですホントに。」
「………てめぇも大概秘密ばっかじゃねぇか人の事言えねぇだろ」
「そんな事ねぇよ。」
そう言った俺は、上手く笑えていただろうか。
まぁそんな事、勝己にしか分からない。
心に穴が空いてしまったみたいだ。
勝己が来てくれたのに、それは変わらない。
大きな喪失感。
「…帰るぞ。」
「脳無は、」
「もうプロヒーローが何人か向かったって生中継してたから大丈夫だろ。それに、俺らに出来ることはねぇんだよ。」
そう言って俺の腕を引く。
まぁ確かに…、プロヒーローがいるんなら俺たちの出る幕は無い。
俺が仮免許を持っていても。
というかどうして勝己はあんなに焦っていたんだろうか。
結果それは分からずじまいで、俺達は帰路へ着く。
吐いた息が白くなって、消える。
もう時期冬か。
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ルーナ(プロフ) - とても面白いです！男主で愛されで病弱が大好きです！続きが気になります！更新待ってます！頑張ってください！！応援してます！！！！ (11月5日 0時) (
レス) id: 02f6ea63a3 (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - 待ってます。 (2022年4月25日 19時) (レス) id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
白玖 - めっちゃ好きです‼︎（唐突）読んでいて癒されるしドキドキするし本当に最高〜！更新大変だと思いますが無理しない程度に頑張って下さい。待ってます (2022年4月10日 22時) (レス) @page37 id: 6cc222fbc4 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - すっごい面白かったです。続き、気長に待ってます！ (2022年1月17日 2時) (レス) @page37 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
おいら(プロフ) - 凄い好きです！！何時までもずっと待ってます!!! (2020年10月30日 13時) (レス) id: e31082eaf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2019年3月26日 4時
