190話「よかった」 ページ10
Noside
嗚呼、もう、うるさい！！！！
Aは頭を降る。
知らない。今更お前達に嫌われた所で、
邪魔扱いされた所で、
俺の知った事じゃない！！
と、何か振り切ったような顔をして、
2人の言葉を待つ。
「……そこまで、貴方が離れたくないものができたのね。……快斗君、だったかしら。貴方、Aの事、好き？」
何を急にっ、と、内心戸惑いが隠せてないが、パッとポーカーフェイスを作り上げ、
「大好きですよ。とても。俺には勿体ない位、良い弟です。」
にっこりと笑ってみせた。
すると何か納得したような顔をして、
「……Aも、愛されているのね。
何だか………産んでよかったわ。」
そう、言った。
"産んでよかった"と。
昔から、『産むんじゃなかった』と言われ続けたAが、
"産んでよかった"と、言われた。
「………っえ」
ポロリと、涙を零す。
親の前では、泣かないと。
そう決めたAが、実に何十年ぶりに、
親の前で涙を流した。
ずっと言われたかった。
欲しかったもの。
Aは生まれて初めて、
肉親から愛情の様なものを貰った。
あの狂気も、最悪な過去も、
消える訳ではない。
消せる訳が、ない。
それでも、Aの涙は止まらない。
「っ、なによ、そんなに泣くほど嫌なのかしら。」
少し残念そうに、皮肉気味に、
笑う母親。
「…俺は、あんたらのことは、一生好きになれない。許さないかも、しれないけど、っでも、
快斗に会えた。それは、産んでくれたから、
だから、ありがとう…っ。」
ぐすっと鼻をすすり、
目からはぼろぼろ涙を流しているが、
にっこり笑ってみせる。
「……っ、快斗君。これからうちの子、なんて言わないけれど、最後だから。
うちの子をどうか、よろしくね。」
「っうぇ、あ、はい！！！」
結婚の挨拶ってこんな気分なのかも、と
雰囲気に合わない事を思って1人、
にしし、と、心の中で笑う快斗だった。
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
