212話「全部月のせい」 ページ31
Noside
「………は、」
快斗は先程のAと同じ反応をする。
「後出し、みたいになってごめん。卑怯なのは分かってる。」
中森さんの事も考えてたし、と頭の中で付け足す。
「な、んで、」
「え、何で俺が快斗の事好きかってゆー質問なの？」
Aは、冷静を装っているが頭の中はフリーズ寸前である。
「や、ちょっ、え？」
快斗は混乱している、その心の中はお察しできるなぁ。
と、同じ目に合わされたAは意地悪げに思う。
「いや、だって、俺、……その、快斗に好きな人がいるって聞いて、………………すっげぇ嫌だったんだもん。」
顔を伏せ、回れ右をしたAは、逃げるように早足で歩を進める。
快斗の顔なんて、見れる筈もないからだ。
「……こんなの聞いて、月のせいにして、忘れろ、とか、出来んの？快斗は、」
足を止め、振り返った。
が、その瞬間、
Aは快斗に抱き締められていた。
「っえ、」
「ごめん、おにーちゃん我慢できねーわ。」
「っ！！！！」
耳元で囁かれたのだからAは顔を真っ赤にする。
ボンッと効果音が付きそうなくらい。
「…好き。俺も、すげー好き。」
快斗はAの頭をぽんぽんする。
愛おしそうに。
「え、あ、その、」
恥ずかしくて、慌てるAは、わたわたと暴れてみせるが快斗は抱き締める力を強くして抑える。
「暴れねーの。」
「……いや、その、」
「ごめん、忘れられねーな。そーゆーことか…」
ニッと笑ってみせるがその頬は赤く染っている。
Aが、その顔に更にどきどきしていることも知らないで。
「いや、これでも俺、今心臓やばいから。」
快斗がAをぎゅっとする。
バクバク五月蝿い心臓を聞かされて、影響を受けるようにAの心臓も跳ねる。
「いや俺もやばいからね？！てか絶対俺の方がやばい！！」
バッと、勢い良く快斗から離れる。
これ以上そばに居たら爆発する！！！とか思いながら。
お互い顔も見れないまま俯く。
少しだけ沈黙の時が流れる。
「あ〜〜……もう、帰ろ？」
それを破ったのはA。
控えめな笑顔を見せ、前へ足を運ぶ。
「そーだな。」
快斗はAの頭をぽんぽんし、隣に並ぶ。
Aは、
どきどきする心臓とは別に、
ずっと青子のことを考えていた。
その日の晩、一緒に寝るのが恥ずかしいやら今更緊張やらで、お互い中々寝付けなかったとか。
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
