182話「いまさら」 ページ2
Noside
「Aっ！！」
息を切らした快斗がAに駆け寄る。
「どうした？一体何が、大丈夫か？」
ポーカーフェイスなんてまるで無い、
心配と混乱と、様々な感情を表に出して声を掛ける。
「快斗……っ」
ぷつんと、糸が切れたように、Aの目からはぼろぼろと大粒の涙が流れ出した。
快斗はそれを見てぎょっとした顔をして、
「えっ、本当にどうした？何があった？」
「……この2人の顔を見た瞬間に、Aさんの様子がおかしくなったんだ。」
「……この2人？」
コナンからの説明を受け、そういえば見慣れぬ顔がある、と快斗も顔を上げる。
そこには夫婦であろう男女が呆然と立っていた。
「あんたらは…、」
「私達は、その子の、Aの生みの親です。」
「っ？！？………生みの、親？」
衝撃的なその事実に言葉が出ない快斗。
そう、生みの親という事はつまり、
Aを捨てた張本人であると。
「生みの親が今更Aに、何の用なんだ？」
快斗は庇うようにAを抱きしめる。
Aは何も言わず、涙を流すばかりだ。
「君こそ、Aの一体なんなんだ。」
「俺はこいつの兄だ。質問に答えろよ。今更Aに何の用かって聞いてんだ。」
人懐こくて、愛想のいい快斗だったが、
今回ばかりは全くと言っていいほど愛想が無く
瀬戸夫妻を睨む始末だ。
「私達、やり直そうと思って。Aを探していたのよ。」
「ああそうだ、君のご両親にも挨拶しなくては、長い間Aの世話をありがとう、と。」
父親の方の言葉に、ピクリと反応する快斗。
殺気のようなものがダダ漏れである。
「……は？世話？つか今更Aとやり直す？何勝手な事言ってんだよ。……おい、A。立てるか？帰るぞ。」
「っえ、快斗、」
苛立ちが隠せない快斗はAを立たせ、
腕を引っ張り毛利探偵事務所を出ていこうとする。
「あ、コナン君も蘭ちゃんも騒がしくしてごめんな？あと連絡、くれてさんきゅ。また今度。」
と、早足で出ていく。
ーーーーーーーーー
「………快斗、ちょっと、待って」
「あ、わり、」
ぱっとAの腕を離す。
その場に立ち止まりAの頭を撫でる。
「大丈夫か？」
「…うん。ほんと、ありがとう……、来てくれて、助かった。」
と、未だ少し流れる涙を拭うA。
「………どうしたんですか？こんな所で、A君、泣いてません？」
買い物袋を持った安室さんの声がした
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
