番外編 �� ページ49
白い部屋で、目が覚める。
「おはよう」
懐かしい声に思わず寝ぼけ意識が一気に覚醒する。
まって、なんで、どうして。
「…とう、いち、さん？」
「随分放っておいて、すまない。」
と、彼は俺の頭を撫でる。
嗚呼、懐かしい。俺はこの手に、当時の信頼を全て委ねた。
涙が零れる。いや、溢れるの方がいいかもしれない。
「とう、いち、さん…」
「お父さん、だろう。教えた筈だ。」
呆れ顔で、それでも笑って俺の頭を撫でる事をやめない。
「A。」
彼はにっこり笑った。
「盗一さん、聞いて、俺ね、快斗と、仲良くなれた。それでさ、しかも、」
言いたい事、伝えたい事が沢山ある。
貴方に、ずっと言いたかった。
「落ち着くんだ。全部聞くからゆっくり話すといい。」
ーーーーーーー
一通り話し終わる。随分時間がたった。
「良かった。私以外に心を開かないAを、少し心配していたよ。」
その言葉に、涙が更に止まらない。
「実は知っていたんだ。快斗がA相手に悪戦苦闘していた事はね。ずっと、見ていた。2人共、私の可愛い可愛い息子だからね。」
これからもそうさせてくれ、と彼は再び頭を撫でてくる。
「盗一さん、快斗がね、」
「今ここで怪盗キッドの秘密を全て教えてあげると言う手もあるがどうかね？」
そうか、盗一さんは快斗がそうであることを知っている。
「……ダメ。それは快斗が決める事だから、俺じゃない。」
この言葉に盗一さんは嬉しそうに微笑んだ。
「さて、時間だ。快斗を頼むぞ。無理はしないように。快斗と助け合うんだ。それと、
ポーカーフェイスを忘れるな。
怪盗キッドをする時の秘訣の様なものだ。快斗には伝えたがAには言ってなかったな。」
「俺は別に怪盗キッドは…」
「私が大切にしている言葉だ。覚えておいてくれ。」
「…うん。」
"ポーカーフェイスを忘れるな"
俺はこの言葉を一生忘れないだろう。
と、その瞬間ぶつりと意識が途絶えた。
ーーーーーーー
「A…？」
快斗な涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげる。
「快斗…なんで、泣いてんの？」
「馬鹿！！風邪、拗らせて、それで、おまっ」
がばっと、勢いよく俺に抱きついてくる。
風邪を拗らせて死ねばいいと言われてたのに、
死にかけて泣かれるなんて。
「快斗、ダメだよ。ポーカーフェイスを忘れるなだろ？」
「なっ、なんでそれ、」
「さっき教えて貰った。」
* `★・*☆` ・°☆・°:* `★・*
これも私が考えた奴です。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 576人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
