216話「優しい奴」 ページ35
ひんやり冷たい感覚に目が覚める。
あれ、俺いつの間に寝てた…？
脱衣場で、頭痛くなって、それで…
急に頭が覚醒してガバッと跳ね起きる。
辺りを見渡すとそこは自分の部屋で、快斗はというと、
座って寝てた。
「……………え、」
外はすっかり明るい。
まるで昼の様だ。
………昼？
時計を見る。
現在の時刻、11:58。
えーーーっと、俺、今日学校あるよな。
俺だけじゃねぇ快斗も。
混乱する頭をよそに、時計の針は12時に回ろうとしていた。
「かっ、快斗…、」
「……ん、A？………あー、おはよう…。」
寝ぼけ眼で挨拶を交わす。違う違う。
「あの…学校、てか、昨日…俺、」
戸惑いながら言うと、
「学校には連絡した、なんでか知らねーけどのぼせて倒れてたんだよ。ま、知らねーけど大体の検討は着くけどな。」
「え、」
「なんか、考え事してただろ。」
察してる！！！
やだ俺のおにーちゃん怖い！！！
「あ、いや、その、」
泳ぐ目付きで、どうにか誤魔化そうとするけど、
快斗が俺の頭に手を置いて至近距離まで迫ってくる。
「また、内緒にされんの？」
いやいやいや、無理無理無理！！！！
そんな至近距離でそんな事言われたらシンプルに何も言えない！！！
「……あのさぁ、Aが俺をどー見てんのか知らねぇけど、俺そんな綺麗なもんじゃないからね？」
……え、
「……例えばさ、お前が誰かの所に行こうもんなら、力ずくでも奪い返す、なんだってするよ。
俺、そんなに優しい奴じゃないよ？」
快斗は分かってたんだ。
俺が中森さんの気持ち知ってから、快斗は何も知らないからって、一線引いてたのが。
それでも快斗は許してくれるって、快斗は優しいから、ってどっかで思ってた。
そんな、省かれた、みたいな事されたら誰だって嫌なのに。
「………そんなつもりじゃ、」
何を言う。きっと、そんなつもりだっただろうに。言い訳を探す自分が嫌になる。
「……だったら、ちゃんと相談しろよ、何かあるなら、」
聞くから、と。俺の頭を撫でる。
快斗には全てお見通しなのか。
もしかしたら中森さんの気持ちも知ってるかも。
そうだ、だって学校一緒だし、いつも何話してるか知らないけど。
「……ごめん。」
「ん。」
言ってしまっていいのか、あんな事勝手に。
中森さんの名前は勿論伏せるが、それでも、だ
そんなの、俺には分からない。
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
