142話「僕じゃ出来ない」 ページ8
「え、」
「いえ、比較的無表情なA君がそこまで怯える程、怖がらせてしまったようなので、本当にごめんなさい。」
安室さんはこっちを向いて頭を下げた。
ああ、良かった。大丈夫、安室さんだ。
てか、俺、比較的無表情？？
そんな風に思われてたなんて…
苦笑いしか出来ねぇわ、
「いえ、頭を上げて下さい。助けてくれて、ありがとうございます。」
そう言うと安室さんは申し訳無さそうな顔をして頭を上げる。
頭の中で銃声と、あいつらの声が消えなくて、
今夜は嫌な夢でも見そうな感じだ。
「少し、顔色が悪いですね。ちょっと寄り道しましょう。」
安室さんがそう言って車を走らせた。
向かった先は、
ポアロだった。
「…少し、待っていて下さい。」
車待機を命じられ大人しく座っていると、
安室さんは、ポアロの店内へ入っていく。
数分待つと、
小さなケーキボックスを持ってきて、
「これを、」
「……なんですか？」
入っていたのはいちごタルトだった。
「え！いいんですか？！」
あまりの嬉しさに(最近食べてないからなんだかより嬉しかった)
頬が緩みまくって安室さんの方へ向く。
「そんな顔をして貰えるとは思いませんでした。お詫びの品、という訳では無いんですけどほんの気持ちです。今日は本当にごめんなさい。」
と、安室さんは少し申し訳なさと嬉しさが入り交じった笑顔をした。
「いえ、ほんとに、大丈夫でしたよ？でもありがとうございます！！」
そう言って笑う。
すると安室さんは嬉しそうに俺の頭を撫でる。
「さて、帰りましょうか。」
車のアクセルを踏み、また夜道を走らせる。
もうすっかり暗くなってしまった。
何を思ったのか安室さんは車の窓を少し開ける。
顔に当たる風と、聞こえてくる音が少し心地いい。
「君のその笑顔を守れるのは、きっと僕じゃ出来ない。」
そう呟いた声は、風の音で遮られ、
俺には届かなかった。
帰ってからいちごタルトは食べました。
美味しかったです。
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楸(プロフ) - vileさん» ご指摘ありがとうございます…誤字ってました。修正致しました。細かい点までよく見てくださってありがとうございます！！ (2018年6月17日 10時) (
レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
vile - 153話ｰ落選ではなく｢落札｣では？選挙じゃなくオークションなんですから。 (2018年6月17日 3時) (携帯から) (レス) id: 66be3b6d69 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 天つ風さん» そうですね…あまり決まってない所の方が多いです、小柄で顔が良いというのは絶対ですねー。一般人なので普通の髪の色をしています。全体的に快斗君と対称的な感じだと思ってくだされば。後はご想像におまかせしても大丈夫ですかね…？わざわざありがとうございます (2018年6月16日 21時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
天つ風(プロフ) - 楸さん» こちらこそありがとうございます！詳しい特徴を教えていただいてよろしいですか？ (2018年6月16日 17時) (レス) id: 06c9892019 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 天つ風さん» きゃーありがとうございます！！いやもう全然お願い致します！！！ありがとうございます！！ (2018年6月16日 15時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年5月8日 23時
