夢の中のエイン (ページ3)

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あの日、頭をぶつけたのが原因なのか、

夢に彼が現れ始めた。

でも不思議な事に会話が出来ない。
正確には自分の声は聞こえるけど、相手に届かない。
それは彼も同じようで。

そして、彼が私に私が彼に

触れようとするとふっと目醒める。

それを何度も繰り返すうちに気付いた事がある。

触れなければ、割と長く一緒にいられる。

願えばその時に必要なものがある程度出てくる。

だから、声が届かない私たちは筆談で会話する事にした。

始めはわからないなりに英単語を交えたりしていたけど、
彼と話したい一心で韓国語を勉強し始めた。

彼も日本語を覚えようとしてくれたけど、中学2年頃から日常が忙しくなったようで私の韓国語の上達の方が早かったから会話はほぼ韓国語になった。

大人になった今でも会話は不安だけど、筆談には自信がある。

中学・高校を経て、私は専門学校、彼は仕事をしながら大学へ。
そして、私も就職した。

それだけはわかる。
夢の中で将来の夢を話そうとすると何故か視界がぼやけたから、詳しく話すのはやめた。

お互いにどんどん成長していくけれど、
今、何をしているかはわからない。

会いに行きたいけれど、
行って、もし彼がこの姿で実在したとして、
この夢が私だけのものだったとしたら、それが怖かった。

でも、それでも私はよかった。

彼が笑う。
彼の表情、全てに惹かれる。

こんなにカッコよくなるなんて、聞いてない。

もし、本当に彼がこのまま成長しているのなら、
隣になんて並べないな…

こんな話、誰に言っても信じてもらえない。
だから、これは私の秘密のはなし