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「心配せんでええで、脱退者もノラの子も見つけた組織が保護するっていう協定やから」

トントンが剣を鞘に収め、少年を安心させるように微笑みながら話しかける。
少年は逡巡した後、さっきより警戒心を薄め刀を鞘に収めた。

『でも』

「子供が遠慮したらあかんよ」

『・・・すまない』

トントンと少年の様子を見てグルッペンは静かに笑いながら近づく。

「交渉成立だ、少年。名は?」

少年は肩をピクリと震わせ黙り込んでしまった。
しかし意を決したのか顔を上げ話し始める。

『分からないんだ、何も。一昨日、気づいたら崩壊した街中で倒れていて』

「・・・何だと?」

『その辺の店にある腐った食品物のラベルで2xxx年の二月頃までは文明が機能していたのは分かったんだけど。私は私に関する一切の記憶を持っていない』

少年の言葉に三人は顔を見合わせる。

記憶喪失

その四文字が脳内をよぎった。
別に珍しい現象ではない。
ただ、四人がたたずむ"燎原区域(エリザベート)"という経路はハシラビト島の中でも街中でディシビの数も多い。

そんな街中で気絶していたともなれば無事でいられたことが奇跡以上なのだ。

「具体的にはどこまで記憶が無い?」

『本当に、自分に関わること全てだ。出身、生年月日、年齢、一人称──ショーウィンドウに映った自分の姿でさえ覚えてなかった。何で世界がこんなに崩壊してるのかも、何で化物が闊歩してるのかも』

驚愕、だ。
つまりこの少年は目覚めてから何もわからない状況でできる限りの情報を集め、武器を見つけて、ディシビからまる二日感も逃げ続けていたということになる。

体格的にまだ幼いであろう少年が何もわからずたった一人で行動するのにどれだけの不安や恐怖が伴っただろうか。

「そうやったんや・・・頑張ったなぁ!」

ゾムが頭をガシガシと撫で始め、少年は抵抗しているが満更でもなさそうな表情だ。

『あ、それより今日の月日を教えて貰えると助かる』

「ん?今日は四月十五日やで?」

「ふむ・・・兎角アジトに戻るとしようか。今が十七時半。日没まであと一時間程か。急ぐぞ」

時計を見ながら呟いたグルッペンに少年は『えっ?』と声を上げた。

『ここ東京だよね?四月十五日の日没時間は例年通りなら十八時十四分だから一時間もないと思うけど・・・』

常識レベル→←ノラ少年 No side ※挿絵あり



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お星 - お久しぶりに見たらすごくなんかなんかねえっと発狂したうん! (2020年9月26日 14時) (レス) id: 7b09c37ff3 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 更新されてたからまた来ましたけど、超面白い……超好き( 超唐突 ) (2019年10月10日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
まんまる(プロフ) - すごく面白いです…。続きが気になります!応援してます!無理しない範囲で更新してくれると嬉しいです!楽しみに待ってます! (2019年7月28日 20時) (レス) id: 6af86988b7 (このIDを非表示/違反報告)
注射器(プロフ) - d!でこういう話は新しいですね…。文章も読みやすく、ストーリーも続きが気になるような素敵なもので凄いです……。 (2019年7月24日 18時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - ふぁー!!!はよ続き読みたいです!!!チノたんも居るの嬉しいです!!!!!マンちゃんの事さらに好きになりました(( (2019年7月12日 2時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みー | 作成日時:2019年7月10日 0時

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