【鬼滅の刃】閉じ込められました

□黒死牟と接吻 ページ20

．









カチャリ、




それはドアの開く音なんかじゃなく私が刀を構えた音だった






「..久しいな..」







私の目の前には鬼がいる

瞳に上弦壱と書かれた六つ目の。








「..私を..覚えてはいるか..」



『..私貴方の様な鬼と面識ありましたっけ』



「..やはり..覚えておらぬか..」








ぽつりと鬼が話し始めたのは昔の話だった


鬼によると私が５歳ほどの時に1度会っているというのだ








「..私は..ハッキリとお前を..覚えている..」


『..もしかして、』







相手の鬼の衣服に見覚えがあった


昔私は山の中で鬼に襲われたことがある

足を引っ掻かれて今でも跡が残っている

その鬼を退治してくれた人がこんな衣服を纏っていた







「..傷跡が..残ったか..」








私の足の傷跡を見てそう鬼は言った



その人は私に背だけを見せて名前も名乗らず去っていった

私が剣士になろうと思い始めたのはその人がきっかけといっても過言ではない






『嘘、貴方が鬼だったなんて、そんな』







こんな部屋で再会するなんて思いもよらなかった


私はぐっと唇を噛んだ


信じたくない、私が憧れた剣士が鬼だったなんて。







「..安心しろ..お前を今は..喰わない..」


「..そうか..髪も..伸びたか..」









そうやって鬼は私の髪を触れて私の口元に接吻を落とした


私は動けなかった




カチャっとドアの開く音







「..私の名は..黒死牟だ..」






そう言い出て行った黒死牟


私はその場にへたりと座り込み少し涙が出た









．



リクエストありがとうございました！

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