陽炎の世界での小話【カゲプロ】【短編集】

特別な日 ページ8

今日はいつもよりちょっと特別な日。
　いつもとちょっと違うお茶とお菓子を食べるの。
　そして、いつもは読まない、特別な本を読むの。
　覚えてる中で一番初めの誕生日、お母さんから貰った絵本。
　毎年、この日にだけ読むの。とっても素敵なお話なの。
　だけど、あれ?何でだろう。
　なんだか泣けてきちゃうなぁ。
　私は、きっとこれからもこのまま。ずっと一人で自分の誕生日をお祝いするの。
　きっとそうだ。
　....寂しいなぁ。
　この絵本の女の子はね、離れ離れになったお父さんとお母さんに会えるの。
　会いたいな。お母さん。
　それでね、素敵な王子様も迎えに来るんだよ。
　でもきっと私には来ないな。王子様。
　閉じた絵本の表紙に、水滴が落ちる。
　誰かに、会いたいなぁ。
　もう一人はいやだなぁ。
　...来年は誰かと一緒に過ごしたいなぁ。

　昔は、そんな事を考えてたなぁ。懐かしいや。
　今は違うよ。一緒に過ごしてくれる仲間が、友達が、沢山居るの。
　そしてね、
　「ケーキ切り分けたっすよ。はい、これマリーの分っす」
　「ありがとう、セト。」
　あの絵本みたいに、素敵な王子様も迎えに来てくれたんだよ。



___________________________________________________________________________________________マリーちゃんお誕生日おめでとう!
遅れてスミマセン(忘れてたとか言えn(((

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