ぽーちゅらか

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ino.





数時間前までは目の前で見ることが出来た彼女の姿。


今となっては、ガラス越しでしか見ることが出来ない。









心機能が急激に低下したAは、
HCUでいくつもの管や機械に繋がれ眠っていた。



酸素マスクの下で浅い呼吸を繰り返す彼女の小さな手を、
山田がしっかりと握っている。




壊れてしまいそうなふたりの姿に、薮が拳を握った。






裕翔「…出さない方が良かったのかな。」




伏し目がちにそう呟く裕翔。



何が正解で何が間違ってるのかなんて、誰にも分からなかった。






心配そうにガラスの向こうを見つめている知念の背に、
そっと手を添えてやる。





Aも山田も俺らにとっては大切すぎる存在で。


だからこそ、みんなの心は不安で大きく揺れていた。






健康体な俺からして、
病を抱えている彼女の苦しさなんて計り知れない。








しかも小さい頃からそれを抱えていたなんて。





俺らの知らないところで、
彼女は1人でそれに耐え苦しんでいたのかもしれない。





カップル揃って何でも抱え込んでしまうことの多いふたりだ。



メンバーとして、
それを少しでも分かち合いたいと思うのはワガママなんだろうか。



大切であれば大切であるほど、
接し方が余計にわからなくなってしまう。


支えたい、救いたい、一緒に苦しみたい。





自らの思いだけが空回りして、
なかなか行動に移すことの出来ない自分。





ふたりのために何が出来るのか、考えなかった夜はなかった。


こんなことふたりに話したら、
きっとふたりとも困ったように笑うんだろうな。







"迷惑かけて、ごめんね"…って。





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