ぽーちゅらか

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ymd.





涙をしっかりと拭って、深呼吸をしてからドアを開く。









点滴や機械に繋がれた彼女は、眠っていた。





…俺は、Aの全部が好きだ。









仕事帰りで疲れている時に気遣ってくれるところ。





ずっと一緒にいたいと思わせてくれるところ。





目がくりくりしているところ。





髪がさらさらなところ。





仕事で失敗をして落ち込んだ時に明るく声をかけてくれるところ。





励みにも癒しにもなる大好きなその笑顔。





俺の全てを優しく受け入れてくれるところ。





一緒にいると楽しくて落ち着くところ。





何をしていても可愛いところ。







Aの好きなところなんてあげたらきりがないくらい、
彼女は俺が今まで出会ってきた人の中で間違いなくいちばん素敵で。

Aが俺の隣にいない未来なんて考えられなかった。









…それなのに。


すっかり暗くなった窓の外で、月の光がふたりを照らす。


思わず溢れ出した涙を、雑に腕で拭った。

……どうして、Aなのか。









漏れそうになる嗚咽を必死にこらえ、
強く握りしめた拳を太腿に叩きつける。









やるせない気持ちでいっぱいで、
何もしてやれない自分が憎かった。



彼女に別れたいと切り出されたあの日を思い出す。




あの別れ話は、俺を悲しみから救うためだった。






それなのに俺は、ただ落ち込むだけ落ち込んで、
あの言葉に込められていた本当の意味を知ろうとはしなくって。





結局のところ、俺は俺の事しか頭になかったんだ。








いつからくるしかった？






どれだけくるしかった？







彼女にしか分からないその苦しみを、
俺は一体どれだけ共に感じることが出来るのだろうか。







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