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『おはようございまーす。』
日テレの楽屋。
少しだけ緊張しながらドアを開けると、
ソファで微睡んでいたちぃちゃんが顔を上げた。
『ごめんね、起こしちゃった。』
ドアを閉めてジャケットを脱いで、ハンガーにかける。
そんな私の背中に、ちぃちゃんが声をかけた。
侑李「体調は?ほんとにただの微熱なの?」
『うん、微熱だけ。』
『今日からまた忙しくなるから、その前に大事をとってお休みさせてもらっただけだよ。』
ジャケットをかけ終わってすぐ、
ちぃちゃんの向かい側に腰を下ろす。
『ごめんね、打ち合わせ参加できなくて。』
目を擦りながら、彼は姿勢を立て直した。
侑李「いや別にそこは全然気にしなくていいよ。」
侑李「ただ、隠し事だけはして欲しくないだけ。」
侑李「みんな心配してたよ。涼介なんて特にね。」
みんなして口をそろえて放つ、涼介の名前。
5年間付き合ってたのは確かだし、
お互いのことを1番に愛し合ってたのも事実。
だからって、そんなに何度も名前を出さなくていいのに。
零れそうになるため息を抑えて、そっと目をつぶる。
小さく深呼吸をしてから、
目を開いてちぃちゃんの瞳をじっと見つめた。
『…もう、私と涼介は恋人じゃないの。』
『ただのメンバーでしかないの。』
昨日も紡いだ、この言葉。
紡ぐ度、心がズキンと痛む。
ちぃちゃんが残念そうに視線を逸らした瞬間、
強ばっていたからだの力が一気に抜ける。
緊張までもがすっと解けた、その刹那。
あろう事か、一筋の涙が頬を伝った。
ふと視線をこちらに戻したちぃちゃんと、
再び視線がかち合う。
涙を拭うまもなく、楽屋のドアが開いた。
光「おはよー。」
涼介「おはよ、」
チェックニットを着こなすだいすきなひとと目が合った瞬間、
もう私の涙腺は限界を迎えて。
涼介「は、お前なんで泣いてんの、」
次から次へと溢れ出る涙を必死に拭いながら、
私は楽屋を飛び出した。
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せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます!ご心配おかけしてしまいすみません…!!無事に完結できるよう頑張りますね〜!!温かいお言葉ありがとうございます!! (2022年3月4日 15時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは!前回コメントさせていただいたものです。最近小説をちょこちょこ見に来てるのですが、更新されてないようで心配してます(焦)。是非最後まで、完結まで見届けたいと言う気持ちがあるので続き待ってます!!でも無理なさらず!お待ちしてます。 (2022年3月3日 23時) (レス) @page48 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - 莉咲さん» コメントありがとうございます!!マイブームだなんて嬉しすぎます〜!温かいお言葉ありがとうございます。 (2021年12月25日 10時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - こんばんは、初めてコメントさせて頂きます。夜寝る前にこのお話を読むのが最近のマイブームになっています。次の更新も楽しみにしています。頑張ってください! (2021年12月23日 23時) (レス) @page36 id: 831d42e079 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです!温かいお言葉とても励みになります〜!ありがとうございます!! (2021年12月13日 11時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せな | 作成日時:2021年11月21日 15時