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『鈴木マネの言う通り。ただの微熱だよ。』
リクライニングにもたれながら、
そう言ってへらりと笑ってみせる。
薮ちゃんもだいちゃんも、
どこか不安げな表情を見せていた。
大貴「じゃあなんで入院なんかしてるの。」
真面目な顔つきで、
だいちゃんがそんなふうに尋ねてくる。
『んー、こうでもしないとじっとしてられないから?』
『やりたいこといっぱいあるんだもん。仕方ないじゃんね?』
再びへらりと笑ってみせてから、ころんと寝返りを打つ。
…だめだ、なきそう。
ひとりぼっちだったこの空間に誰かが来てくれただけで、
こんなにも安心するなんて。
その"誰か"がメンバーなんだもん、なおさらだよ。
薮「だからって…。せめて山田には話しとけよ。」
大貴「そうだよ。めっちゃ心配してたからね?」
寝返りを打っておいてよかった。
彼らに背を向けた状態だから、
表情で何かを悟られなくて済む。
宏太「…A?」
目頭がじんわりと熱くなる感覚をおぼえながら、
そっと息を吸い込んで口を開く。
『だってもう、私たち恋人じゃないもん。』
『ただのメンバーでしかないんだよ。』
窓の外で、風に吹かれた紅葉が揺れた。
大貴「…ほんとにそれでいいのかよ、」
無機質なこの空間に、大貴の声だけが響いた。
久々に聞く、怒りを含んだその声。
涼介のことも私のことも大切に思ってくれているからこそ、
みんなが気にかけてくれていた。
…でも。
『…いーの。もう決めたことだから。』
こぼれ落ちた1粒の涙には、気付かないふりをする。
『明日の午後はスク革の収録あるんだけど、』
『終わり次第ライブリハ参加できるから心配しないでね。』
『明後日は歌番組かあ。毎日一緒だね?』
ふふ、とほんの少しだけ笑って、
こぼれ落ちたもう1粒の涙を拭う。
『…もう、帰って大丈夫だよ。』
『心配かけて、ごめんね。』
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せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます!ご心配おかけしてしまいすみません…!!無事に完結できるよう頑張りますね〜!!温かいお言葉ありがとうございます!! (2022年3月4日 15時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは!前回コメントさせていただいたものです。最近小説をちょこちょこ見に来てるのですが、更新されてないようで心配してます(焦)。是非最後まで、完結まで見届けたいと言う気持ちがあるので続き待ってます!!でも無理なさらず!お待ちしてます。 (2022年3月3日 23時) (レス) @page48 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - 莉咲さん» コメントありがとうございます!!マイブームだなんて嬉しすぎます〜!温かいお言葉ありがとうございます。 (2021年12月25日 10時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - こんばんは、初めてコメントさせて頂きます。夜寝る前にこのお話を読むのが最近のマイブームになっています。次の更新も楽しみにしています。頑張ってください! (2021年12月23日 23時) (レス) @page36 id: 831d42e079 (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです!温かいお言葉とても励みになります〜!ありがとうございます!! (2021年12月13日 11時) (レス) id: b638a60bdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せな | 作成日時:2021年11月21日 15時